日本の英語教育の教育
ひと昔前は、英語教育は中学1年生からでした。
2011年頃から英語教育の開始時期は早まり小学5年生になっています。
さらには小学3年生から開始と、今後、徐々に低年齢から初めて行く流れとなっています。
『日本語の土台が出来ていないのに、英語はやめたほうが良いのでは?』
という考える方もいるようです。
現に、英語の早期教育に対して懐疑的な立場をとる政治家や教育者も多数いるようです。
日本が英語教育を強化したほうが良い理由
国際化の波
国際的にみて、日本人の英語能力は非常に低いです。
英語の標準的な試験であるTOEFLを例にすると、日本人の平均点は70点ですが、インドでは91点、韓国では85点です(120点満点)。
ほとんど全てのアジアの国々に負けています。
日本はもうアジアの一強ではない件…
これまではアジアの中でも日本の経済・産業の地位は確固たるものでしたが、徐々に他国との差は縮まっています。
高齢化の波もあり、今後、日本の経済成長は大きく望めない状況です。
日本が世界で生き残るには、ビジネス面・観光面でも海外の国々との交流を活発にしていく必要があります。
英語教育は日本語の学習を阻害しない
『幼少期に英語を学習すると、日本語能力が育たない』という意見は、本当でしょうか。
少なくとも、私はこの科学的根拠を知りません。
明確に区別されてませんが、英語と日本語は異なる脳の領域で処理されています。
脳科学の点からも、英語のトレーニングをしたからといって、その代償として日本語能力が落ちるわけではありません。
小学3年生での開始は妥当なラインか
結論からいうと、私は小学3年生でもかなり遅い、と感じています。
英語教育は7歳までに開始するのが重要
こちらのグラフは、第二外国語として英語を学んだ人を対象に、『英語学習の開始時期』と『英語のテストの点数』を分析した調査です。
第二外国語を対象にするため、他国からアメリカに移住したアジア人を対象に研究は行われました。
- Y軸(縦軸):英語の成績
- X軸(横軸):アメリカへ移住した年齢
です。
アメリカへ移住した年齢ですので、ネイティブ・スピーカーに囲まれて英語学習を開始した時期といえます。
研究結果:英語は遅くとも7歳までに始めるとよい
研究結果ですが、7歳までにアメリカ国内へ移住した場合、英語の環境への適応力が高く、ネイティブ・スピーカー並みの英語力を保てています。
つまり、英語教育が早いほど英語力は高くなる、といえます。
一方、8歳以上になると、徐々に英語の点数が下がっていきます。
特に17歳を過ぎて英語学習を開始しても、なかなか良い点数がとれないです。
ここから、8歳を過ぎて英語学習を開始しても、ネイティブレベルに追いつくのは困難、といえます。
英語学習の開始に適切な時期がある
この研究から、0〜7歳で英語学習を開始すればネイティブ・スピーカーと変わらない英語力が身に付く、という点です。
一方、8歳以上で英語教育を開始しても、身に付く英語能力は限界があり、ネイティブと同等にはなれない、といえます。
この結果から、
英語学習の開始時期は7歳以下が望ましい
といえます。
日本では、小学3〜5年生での開始が現状です。
昔のように、中学1年生から開始するより遥かにマシな政策ですが、それでも英語学習の開始年齢が遅すぎるように感じます。
幼少期の教育は利回りの良い投資と考えましょう
上のグラフは、教育への投資に対するリターン(利回り)をみたものです。
この図は、子供の教育への投資時期と、将来に期待できる収入や地位を見ており;
- Y軸:投資金に対するリターン(利回り)の割合
- X軸:教育開始の時期
です。
https://www.torrossa.com/resources/an/2475936
この結果から、就学前(つまり7歳未満)の教育投資は非常にリターン(利回り)が良く、とても効率的な投資といえます。
つまり、低年齢の子供に教育へ投資すると、良い学校・大学へ進学でき、将来的に安定した仕事・職業に就職し、最終的に経済状況が良くなります。
このように、幼少期での積極的な教育投資は、低コストで大きな利回りを将来に期待できます。
教育の効果は積み上げ式です
当たり前のことですが、英語は積み上げ式に効果が出ます。
幼少期から英語教育を開始し、さらに継続することで、確実な英語力が身に付きます。
◎ 小児科外来では、保護者からの相談は様々で、学校生活や教育面のことを相談されることがあります。『医療と教育は別物ですので』と言うことも簡単ですが、できれば有益なアドバイスをしたいと思い、勉強の日々です。中室牧子先生の書いた『学力の経済学』は、科学的根拠に基づいた教育の重要性を説いています。教育に悩まれている方は、1度読んでみると良いでしょう。
◎ 「学力の経済学」の書評はこちら