小児科

「みずいぼ (伝染性軟属腫)」について小児科的に解説します

水いぼの典型的な経過

『ある日、突然、赤くて数mmのポツポツが皮膚に沢山できてきました。
 様子を見ていたんですけれど、どんどん数が増えてきます。
 特に、脇腹や脇、手足に多いです。』

これが、水いぼの典型的なエピソードです。

今回は水いぼの原因・特徴・診断・治療法・感染予防について説明します。

水いぼの原因について

 

「水いぼ」は、「伝染性軟属腫ウイルス (Poxvirus)」に感染することで起こります。
感染した皮膚と健常な皮膚の接触で起こる「接触感染」しまいます。
幼稚園・保育園での感染が多く、タオルやプールのビート板を共有していると起こりやすいです。
特に汗をかきやすい夏場やプールでは注意が必要です。

水いぼの特徴について

水いぼの特徴を列挙すると、以下のようになります:
  1. 2mm〜4mm程度と小さく、1cmを超えるのは稀
  2. 光沢があり、柔らかい
  3. 膨らむがあり、中心に凹みがある
  4. 白色〜ピンク色
  5. 痛くない、痒くない
  6. 脇、股、首に多い
  7. 顔や口の周りは少ない
  8. 乳幼児(〜5歳くらい)に多い 

 

Dr.KID
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見た目が特徴的です。

水いぼの診断はどうしていますか?


「みずいぼ」は基本的には臨床診断で十分です。
つまり、医師が診察して、その形状・色・大きさ・病歴を加味して診断をします。

ウイルス感染ですので、理論的には「PCR」という遺伝子増幅検査をしてウイルスを特定すれば、より正確な診断は可能です。

しかし、みずいぼは治療が不要なことがほとんどで、治療方針に影響しないため、高額なPCR検査を使うケースは滅多にありません。

Dr.KID
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見た目で診断できるケースがほとんどです。

水いぼの治療について

無治療で様子をみるのが基本です。
というのも、ほとんどの水いぼは数ヶ月~2年以内に自然に治ります。
クリニックによっては:
  • ピンセットで掻爬する
  • 液体窒素で凍結療法をする
場合があります。

 

ピンセットや液体窒素の治療の問題点

これらの治療法ですが、一見すると病変取り除く処置ですので有効に思えます。
しかし、ピンセットでの掻爬や液体窒素療法は「イタチごっこ」になってしまうことが多いです。
つまり、出てくる水いぼを対処しても、対処した後から次々と新しい病変が出てくるため、きりがなくなります。
また、泣いて抵抗する患児を押さえつけて、無理やり取るのは子どもにとって辛い処置といえるでしょう。
病院嫌い、白衣恐怖症の子どもを作る恐れもあります。

漢方について(ヨクイニン)

『漢方が効くって聞きました』
保護者の方から、質問を受けることもあります。
おそらく「ヨクイニン」という漢方のことで、この漢方薬を処方する医師もいます。
残念ながら、この治療法には科学的根拠がありません。
つまり、本当に有効であるかどうか、十分な検証がされていない治療法です。
一般の方は「漢方薬=安全」というイメージが先行しているようですが、漢方も薬です
薬である以上、必ず副作用が伴いますので、安易に使用しないほうが良いと私は考えています。

水いぼの感染予防について

水いぼは、「感染者の肌」と「健常者の肌」の接触で感染します。
このため、基本は接触感染を避ける方法をとります。例えば:
  • プール、風呂場、銭湯、シャワーでタオルの共有をしない
  • プールでビート板を共有しない

といった、ルールを守ることが必要です。

『みずいぼの子はプールに入れません』
と極端な方針をとる保育園・幼稚園があるとお聞きしています。

上記の内容を守っていれば、基本的にプールに入ってもかまわないと私は考えています。

皮膚科学会などの統一見解も載せておきますね:

みずいぼ

プールの水ではうつりませんので、プールに入っても構いません。ただし、タオル、浮輪、ビート板などを介してうつることがありますから、これらを共用することは出来るだけ避けてください。プールの後はシャワーで肌をきれいに洗いましょう。

 

 

◎ 水いぼなどで皮膚が傷ついた場合、日焼けで痕が残りやすくなります。特に、水いぼや水疱瘡を含む皮膚の感染症は、夏場に起こりやすいです。しっかりと日焼け対策も行いましょう。 

 
ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。