水いぼの典型的な経過
『ある日、突然、赤くて数mmのポツポツが皮膚に沢山できてきました。
様子を見ていたんですけれど、どんどん数が増えてきます。
特に、脇腹や脇、手足に多いです。』
これが、水いぼの典型的なエピソードです。
今回は水いぼの原因・特徴・診断・治療法・感染予防について説明します。
水いぼの原因について
「水いぼ」は、「伝染性軟属腫ウイルス (Poxvirus)」に感染することで起こります。
感染した皮膚と健常な皮膚の接触で起こる「接触感染」しまいます。
感染した皮膚と健常な皮膚の接触で起こる「接触感染」しまいます。
幼稚園・保育園での感染が多く、タオルやプールのビート板を共有していると起こりやすいです。
特に汗をかきやすい夏場やプールでは注意が必要です。
特に汗をかきやすい夏場やプールでは注意が必要です。
水いぼの特徴について
水いぼの特徴を列挙すると、以下のようになります:
- 2mm〜4mm程度と小さく、1cmを超えるのは稀
- 光沢があり、柔らかい
- 膨らむがあり、中心に凹みがある
- 白色〜ピンク色
- 痛くない、痒くない
- 脇、股、首に多い
- 顔や口の周りは少ない
- 乳幼児(〜5歳くらい)に多い
Dr.KID
見た目が特徴的です。
水いぼの診断はどうしていますか?
「みずいぼ」は基本的には臨床診断で十分です。
つまり、医師が診察して、その形状・色・大きさ・病歴を加味して診断をします。
ウイルス感染ですので、理論的には「PCR」という遺伝子増幅検査をしてウイルスを特定すれば、より正確な診断は可能です。
しかし、みずいぼは治療が不要なことがほとんどで、治療方針に影響しないため、高額なPCR検査を使うケースは滅多にありません。
Dr.KID
見た目で診断できるケースがほとんどです。
水いぼの治療について
無治療で様子をみるのが基本です。
というのも、ほとんどの水いぼは数ヶ月~2年以内に自然に治ります。
というのも、ほとんどの水いぼは数ヶ月~2年以内に自然に治ります。
クリニックによっては:
- ピンセットで掻爬する
- 液体窒素で凍結療法をする
場合があります。
ピンセットや液体窒素の治療の問題点
これらの治療法ですが、一見すると病変取り除く処置ですので有効に思えます。
しかし、ピンセットでの掻爬や液体窒素療法は「イタチごっこ」になってしまうことが多いです。
しかし、ピンセットでの掻爬や液体窒素療法は「イタチごっこ」になってしまうことが多いです。
つまり、出てくる水いぼを対処しても、対処した後から次々と新しい病変が出てくるため、きりがなくなります。
また、泣いて抵抗する患児を押さえつけて、無理やり取るのは子どもにとって辛い処置といえるでしょう。
病院嫌い、白衣恐怖症の子どもを作る恐れもあります。
病院嫌い、白衣恐怖症の子どもを作る恐れもあります。
漢方について(ヨクイニン)
『漢方が効くって聞きました』
保護者の方から、質問を受けることもあります。
保護者の方から、質問を受けることもあります。
おそらく「ヨクイニン」という漢方のことで、この漢方薬を処方する医師もいます。
残念ながら、この治療法には科学的根拠がありません。
つまり、本当に有効であるかどうか、十分な検証がされていない治療法です。
つまり、本当に有効であるかどうか、十分な検証がされていない治療法です。
一般の方は「漢方薬=安全」というイメージが先行しているようですが、漢方も薬です
薬である以上、必ず副作用が伴いますので、安易に使用しないほうが良いと私は考えています。
薬である以上、必ず副作用が伴いますので、安易に使用しないほうが良いと私は考えています。
水いぼの感染予防について
水いぼは、「感染者の肌」と「健常者の肌」の接触で感染します。
このため、基本は接触感染を避ける方法をとります。例えば:
このため、基本は接触感染を避ける方法をとります。例えば:
- プール、風呂場、銭湯、シャワーでタオルの共有をしない
- プールでビート板を共有しない
といった、ルールを守ることが必要です。
『みずいぼの子はプールに入れません』
と極端な方針をとる保育園・幼稚園があるとお聞きしています。
上記の内容を守っていれば、基本的にプールに入ってもかまわないと私は考えています。
皮膚科学会などの統一見解も載せておきますね:
みずいぼ
プールの水ではうつりませんので、プールに入っても構いません。ただし、タオル、浮輪、ビート板などを介してうつることがありますから、これらを共用することは出来るだけ避けてください。プールの後はシャワーで肌をきれいに洗いましょう。
◎ 水いぼなどで皮膚が傷ついた場合、日焼けで痕が残りやすくなります。特に、水いぼや水疱瘡を含む皮膚の感染症は、夏場に起こりやすいです。しっかりと日焼け対策も行いましょう。