胃腸炎関連けいれんってなんですか?
けいれんと聞くと「熱性けいれん」を思い浮かべる方が多いと思います。
「熱性けいれん」は、5歳未満の乳幼児が、発熱後に起こすひきつけのことを言います。
一方、胃腸炎関連けいれんは、「軽症の下痢に伴う良性のけいれん」です。
乳幼児がロタウイルスやノロウイルスなど、ウイルス性胃腸炎にかかった時に起こす痙攣を『胃腸炎関連けいれん』と呼んで、熱性けいれんと区別しています。
熱性けいれんとは異なるので、発熱しなくてもけいれんしますし、短い数分程度のけいれん発作を何回も繰り返す「群発性」の特徴があります。
胃腸炎関連けいれんの特徴を教えて下さい
胃腸炎関連けいれんは、乳幼児に多いです。
起こりやすい年齢は、生後2ヶ月〜3歳です。
男児も女児も同じ割合で起こします。
下痢は軽症であることが多く、脱水も軽度です。
発熱は認めず、けいれん発作の持続時間は1〜3分が多いです。
1日の間に2回〜6回ほど繰り返すことがありますが、発作の間は意識がはっきりとしていることが多いです。
後遺症は一般的に残さないです。
日本人に多いって本当ですか?
ロタウイルスは世界中で感染していますが、ロタウイルス性胃腸炎で痙攣が出ると報告されているのは、日本を含むアジアがほとんどです。
胃腸炎関連痙攣がロタウイルス胃腸炎で出現する頻度は:
- 日本 2.9%
- 台湾 5.3%
- インド 3.7%
という報告もあります。
アジアに発症が多く、アジア人に共有している遺伝子との関連性を疑いたくなります。
再発することはありますか?
再発することは非常に稀です。
つまり、胃腸炎関連けいれんで入院を繰り返す例は珍しいでしょう。
治療について教えて下さい
治療はカルバマゼピン (テグレトール®︎)を使用して、けいれん発作の群発が抑制できるといわれています。
熱性けいれんでよく使用されるジアゼパム(ダイアップ®︎)は無効と考えられています。
◎ こちらは小児神経科医が書いた「けいれん」の本です。小児神経科はてんかんや発達など、子供の神経の専門家です。専門家の書いた書籍は、小児科のそれとはまた違った面白さがあると思います。私も1度読んでみようと思います。