- 『近くのクリニックで、喘息っぽいって言われました』
- 『喘息らしい症状ですね、と言われています』
- 『喘息にかなり近いですね、と言われました』
と、外来で相談されることが度々あります。
おそらく、我が子が『喘息』であるかどうかは、保護者にとって大きな不安の1つなのでしょう。
気管支喘息は検査では確定できない
まず最初に理解していただきたいのは、喘息は何か検査をして確定するわけではありません。
確かにダニや花粉、ハウスダストなどアレルギー検査をすることもありますが、これはあくまでも、その子のアレルギーの傾向をみているにすぎません。
実際に『喘息』と診断するサポートにはなりますが、これらの検査だけで『あなたのお子さんは喘息です』と断言することはまずないでしょう。
喘鳴について
呼吸の音がゼーゼーすることを『喘鳴』といいます。
特に乳幼児はもともと気道(空気の通り道)は細いので、風邪をひいたときに、痰などの分泌物が溜まって喘鳴を起こすことがあります。
風邪をひいて時に1〜2回、ゼーゼーしたからといって、喘息と診断しないのは、このためです。
喘鳴の頻度と程度で最終的に診断しています
最終的には喘鳴の程度(音や呼吸苦の程度)、頻度を参考に診断をしています。
ですが、実はどこからが喘息かは非常に難しいです。
このため、多くの医師は最初はやや曖昧な表現をしているのでしょう。
喘息と聞くと、とても大変そうで…
『喘息だと、とても大変そうですし、心配しています』と相談されることも多々あります。
『喘息=大変』というイメージからも、保護者の方々は診断を気にしているのでしょう。
確かに本当に喘息ですと発作時には受診が必要になりますし、発作予防の内服薬や吸入薬が必要になるため、負担になることもあります。
有効な治療は多数あります
現在は、発作時の治療も、発作予防の治療も有効性が証明されており、喘息の管理は容易になりました。
ですので、仮に喘息だとしても、それほど心配しなくても良いでしょう。
どのような治療をしていますか?
発作時(ゼーゼーして苦しい時)はβ刺激薬の吸入と、(必要なら)ステロイドの内服をすることが多いでしょう。
呼吸が苦しくて、酸素を吸わないといけない状況であれば、入院となります。
およそ1週間前後で退院できることがほとんどです。
発作予防としては、ロイコトリエン拮抗薬(オノン・キプレスなど)やステロイドの吸入薬を使用しています。
これは、風邪をひいたときや季節の変わり目に、ゼーゼーしないようにするため使用しています。
ロイコトリエン拮抗薬が処方されていても、必ずしも喘息ではありません
最近は、ロイコトリエン拮抗薬(オノン・キプレス・プランルカストなど)は過剰に処方されています。
『この医師は、風邪薬と勘違いしているのでは?』と思う場面も多々あります。
私個人としては、咳止めの効果はないので、喘息を強く疑ったお子さんにのみ処方するのですが、その一方で、ただの風邪でも気軽に処方している医師はかなりいます。
ですので、ロイコトリエン拮抗薬を処方されていても、必ずしも喘息と判断されているとは限りません。
まとめ
喘息の診断は検査で確定できるわけではありません。
おおよそ、喘鳴の頻度や程度と、その後の経過で判断することが多いでしょう。
『はっきりしてほしい』と思われるかもしれませんが、どこから喘息というかかの境界線はかなり曖昧です。
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