小児科

果汁は1歳になるまでは与えないほうが良いでしょう

「生後2〜3ヶ月になったら果汁を」はNG

いきなりセンセーショナルな発言で驚かれたかもしれません。

「生後2〜3ヶ月になったら果汁をあげてください」とひと昔前は、小児科医からもアドバイスがされていました。
母子手帳にも、同様の記載欄がありました。

昔ながらの小児科医は、いまだに同じアドバイスを続けていることがあります。

Dr.KID
Dr.KID
ひと昔まえの考え方です。

果汁は1歳になるまでは与えない、が正しい

現在は『果汁は1歳になるまでは与えない』というのが正しいです。
厚生労働省もアメリカ小児科学会も0歳児に果汁を与えることに反対しています。

 例えば、2007年に厚生労働省から 『果汁は栄養不足につながるので必要ない』といわれ、母子手帳からも果汁に関する記載がなくなりました。

アメリカ小児科学会は2001年から乳児への果汁投与に懸念を示しています

2001年にはアメリカ小児科学会から 「子どもに果汁を与えるリスクと適切な摂取方法についての勧告」 という勧告がでています。

こどもに果汁を与えてはいけない理由として、果汁は;

  1. 6ヶ月未満の乳児に栄養面での利益(メリット)がない
  2. 脱水・下痢の管理の飲料としては不適切
  3. 過剰摂取は栄養障害の恐れがある
  4. 過剰摂取は下痢・腹部膨満になりうる
  5. 虫歯の原因となる

以上のことを根拠に「1歳未満の乳児は果汁を摂取するべきではない」と結論づけています。
これらのアメリカ小児科学会の声明は、観察研究などを行い科学的な根拠に基づいた発言です。

Dr.KID
Dr.KID
果汁(フルーツジュースなど)を与えるメリットがないのです。

果汁が栄養面で乳児にメリットがない理由

『果汁に栄養面で利益がないのは本当!?』と疑問に思われるかもしれません。

果汁はミルク・母乳と比べて栄養価が低いです

果汁には糖分とビタミンが含まれますが、たんぱく質や脂質はなく、栄養価としてはミルク・母乳に比べたら遥かに低いです。

Dr.KID
Dr.KID
体の良さそうなイメージですが、乳児にとってはそうでもありません。

ミルク・母乳を飲む量が減ることがある

果汁を1日に沢山摂取してしまうと、その分だけミルク・母乳を飲む量が減ります。
結果として、必要なカロリーが摂取できず、体重が増加しなくなります。

離乳食の導入を妨げる

また、果汁は甘いため、離乳食をすすめるのも妨げます。

人間は本来、塩っぽいもの・甘いものが好きな生き物です。
果汁を早期に与えてしまうと、味気のない離乳食を嫌がってしまうのです。

まとめ

1歳未満の乳児にメリットは少ないため、果汁を与えるのは避けた方がよいでしょう。

基本は母乳で、必要な時は人工乳を足してあげてください。
これだけでビタミンを含めて必要な栄養は十分摂れます。

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ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。