小児科

小児科医の視点から考えた、ペットと子供の生活について

ペットは私たちの生活のパートナー

ペットは人間社会と、非常に深く関連しています。ペットは「家族」「生活のパートナー」「生きがい」など、人間生活のなかで様々な役割を担っています。

ペットの種類は多様化している

ペットとして多いのは、犬や猫でしょう。

近年では、哺乳類・爬虫類・鳥類も増えています。
これらの動物は、海外から輸入され、販売されている場合もあります。

今回は、ペットを飼育する際に起こりうる消化管の感染症の種類と注意点を説明していきます。

Dr.KID
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リスクはありますので、一応は知っておいた方が良いと思います

ペットから移る消化管の感染症

ペットなど動物から移る感染症は様々ですが、今回は下痢などを含めて消化管の感染症と予防策について説明します。

サルモネラとカンピロバクターに注意

ペットから移る可能性のある消化管の感染症として多いのは、サルモネラ菌とカンピロバクター菌です。
この2つの菌は食中毒の原因菌としても有名です。

こどもの食中毒と予防法を解説します〜カンピロバクターとサルモネラ〜カンピロバクター感染による食中毒 このいびつな形をした病原体がカンピロバクターの正体です。 カンピロバクターによる胃腸炎は増加傾向 ...

ペットはサルモネラやカンピロバクターを保菌していることも

Dr.KID
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なぜペットから感染してしまうかですが…

ペットはサルモネラやカンピロバクターを体内に保有していることがあります。
もちろん犬・猫も保有しています。
学校で飼育されることのあるカメや、爬虫類、鳥類もこの菌を保有しています。

例えば、カンピロバクター菌の保有率を、動物毎に比較してみると:

  • イヌ  47%
  • ネコ  37%
  • ニワトリ 94%
  • ブタ 90%
  • 野鳥 40%
  • サル 17%
  • ヒツジ 4%

となっています。

Dr.KID
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意外と保菌していることが多い…

ペットが下痢した時は要注意

特に、動物が下痢をしているとき、90%の確率でカンピロバクターやサルモネラを排菌している、と報告されています。

さらに、食肉にもカンピロバクターが感染していることもあります。
鶏肉の58%にカンピロバクターを認めた、とされる報告もあります。
つまり、食肉を調理せずにペットに与えると、感染する危険があります。

Dr.KID
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ペットが下痢した時は要注意ですね。

ペットから感染する原虫感染症

ペットには原虫が寄生していることがあります。
有名なのは、クリプトスポリジウムという原虫です。

クリプトスポリジウムは、鳥・猫・犬・牛などに寄生しています。 牛への寄生頻度が高く、獣医系の学生、研究者、農業体験学習、移動遊園地での感染例が報告されています。

クリプトスポリジウムに感染すると、下痢や腹痛を起こします。

ペットからの感染症を防ぐ方法

共同生活を避けるのが一番の感染予防ですが、ずっとペットと生活している場合、現実的にはそうはいかないと思います。

いくつか予防法について記載しますので、参考にしてください;

1. 手洗いは入念に

ペットを触れた後、手をしっかり洗いましょう。

手を洗うと、手に付着したバイ菌を物理的に落とせます。

ペットの餌に触れた後も、十分に手荒いをするようにしましょう。
実は、爬虫類の餌、ドッグフード、キャットフードにはサルモネラ菌が潜んでいることがあります。

 

 2.手洗い後にさらにアルコールで消毒する

手洗い後に、さらに手を消毒しましょう。
アルコール入りのジェルなどで、手を消毒するとさらに良いでしょう。

 

 3. 便には直接手で触れない

ペットの便には様々な細菌がいるため、直接触れるのは避けるようにしましょう。
手には簡易のビニール手袋やゴム手袋を装着して処理するのをオススメします。

 4.ペットに生肉を与えない

生肉にはサルモネラやカンピロバクターといった細菌が住んでいます。

生のままペットに与えると、ペットのお腹の中でこれらが増殖し、便へ排出され、最終的にヒトへ感染してしまいます。

肉は加熱処理してからペットに与えるようにしましょう。

5. 感染の危険性の高い人

ペットからの感染の危険性が高い人は:

  • 5歳未満の小児
  • 高齢者
  • 免疫不全者
  • 妊婦

です。

特に気をつけたいペット

特に気をつけたいのは、爬虫類・ひよこ・小ガモ・子猫・子犬、下痢をしているペットです。
また、動物園や農場での動物接触後も注意しましょう。

Dr.KID
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亀にサルモネラが寄生していることもあります。

最後に

ペットと一緒に生活する場合、細菌への感染に注意は必要となります。

しかし、飼育者が適切な対処法を身につけることで、感染への予防や感染の危険性を下げることは可能です。

正しい知識を身につけて、飼い主とペットでの心地よい生活を送るようにしていきましょう。

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。