麻疹(はしか)のまとめ
- 麻疹ウイルスの空気感染によっておこります。
- 発熱、咳、鼻水、発疹を特徴としています。
- 予防接種を受けないと、多くの人がかかる病気です。
- 肺炎、中耳炎、脳炎といった合併症があります。
- 1歳になったら早めにワクチンを受けるようにしましょう。
麻疹の感染力について
麻疹(はしか)は麻疹ウイルスの感染で起こります。
麻しんウイルスは、感染力が非常に強いです。
空気感染によって感染するため、予防接種を受けていないと、多くの人が罹る病気です。
感染のリスクが高い年齢
昔は乳幼児の感染が多かったのですが、ワクチンが普及したため感染数はかなり減っています。
今は、ワクチンを受けていない学童や1回しかワクチンを受けず効力がなくなってしまった成人での感染が散発しています。
麻疹の症状
麻しんの潜伏期は1−2週間程度です。
主な症状として、発熱、せき、鼻水、めやに、発疹を特徴としています。
結膜炎を起こすため、光をまぶしいということもあります。
特徴的な発熱のパターン
発熱のパターンですが、最初の3〜4日は38℃前後の発熱です。
その後、一旦解熱するのですが、さらにその後に39〜40℃の高熱と発疹が出ます。
この2回目の高熱は大体ですが3〜4日くらいで解熱します。
発疹の特徴
発疹は、耳の後ろから出現し、顔、お腹と背中、手足の順番に広がることが多いです。
それと同時に発疹も1週間くらいで消失しますが、色素沈着が残ります。
発疹が出る前に口の中にコプリック斑という発疹を認めることもあります。
発症3日前〜発疹出現4日目まで感染力があります。
麻疹の診断
基本は問診、ワクチン歴・罹患歴・接触歴、身体所見から判断します。
血液検査で麻疹の抗体を検査することもできます。
急性期と2〜4週間後の回復期の抗体をみて、4倍以上の上昇があれば麻疹を診断します。
あるいは、麻疹のIgMとIgG抗体を調べる方法もあります。
麻疹の合併症
主な合併症として、以下のものがあります:
- 中耳炎
- 肺炎
- 脳炎
- 亜急性硬化性全脳炎
合併症の頻度
中耳炎の頻度は100人中7〜9人くらいです。
肺炎は100人中1〜6人で生じます。
脳炎の頻度は1000人に1〜2人の割合で発生します。
亜急性硬化性全脳炎は慢性に経過する脳炎で、10万人に1〜2例発生します
麻疹の致死率は高い
麻しかが恐ろしいのは致死率の高さです。
予防接種をうけずにかかる人は数千人に1人の割合で死亡するといわれています。
治療について
特異的な治療はない、つまり麻疹の特効薬はありません。
ですので、ワクチンで予防可能 なため、予防接種が非常に重要です。
麻疹に罹患した場合は、安静・補液などの対症療法を行い、細菌性の2次感染の予防をします。
感染対策(周囲の人の感染を防ぐ)
麻疹は空気感染します。
麻疹患者と接触してから 7日以降、発疹が出現してから5日間は感染の可能性があります。
免疫グロブリンを接触後6日以内であれば、発症阻止と軽症化に有効です。
出席停止について
学童の出席停止は 解熱後3日、咳・発疹が軽快するまで
としているところが多いです。
麻疹ワクチンについて
麻疹ワクチンは、麻しんウイルスを弱毒化して作った生ワクチンです。
麻疹は1〜2歳にかかることが多いため、1歳になったらできるだけ早めにワクチンを受けましょう。
麻疹ワクチンの有効性
麻疹ワクチンは1回の接種で95%程度の確率で免疫を獲得できます。
しかし、年数が経ってから免疫が下がってくることもあるため、2回の接種が行われています。
1回目は1歳で、2回目は小学校就学前の1年間に行います。
麻疹ワクチンの副作用について
副反応で多いのは、発熱と発疹です。
1回目ですと発熱は10-20%程度に認め、2回目の場合は5-6%といわれています。
発疹は1回目で5%、2回目で1%くらいに認めます。
その他の症状として、注射部位の発赤・腫脹などの局所反応を認めることがあります。
関節痛や熱性痙攣を起こすケースもあります(300人に1人くらい)。
麻疹は予防が大事
予防接種の副反応と麻疹の合併症を天秤にかけると、明らかに麻しんの合併症のほうが恐ろしいです。
ですが、近年はワクチンの接種率の低かった大人の世代が問題となり、アウトブレイク(集団発生)が発生しています。
早めにワクチンを受けるようにしましょう。