当ブログは小児医療に関する情報提供の場で、
- 保護者の方々が直面しやすい悩み
- 小児科外来でよく質問されること
- 保護者の方々に知っておいて欲しいこと
- 小児の病気の簡単な解説
- 医学英語論文の解説・疫学的な視点から
をテーマに続けてきました。
育児や小児医療の情報は巷には溢れかえっていますが、その情報の質は様々で玉石混交です。
当ブログでは、一般的に小児科医が考えていること、科学的根拠に基づいた小児医療をベースに書き続けています。
(多少、私の好みも入っていますが、できるかぎりフェアに掲載するように努めています)
おかげさまで、当ブログの記事は150を超え、ブログ読者が徐々に増えている実感もあります。
当ブログの人気記事 TOP 10 をこちらに載せておきます。
10位 突発性発疹について解説します
乳幼児で初めての発熱と聞くと小児科医は『突発性発疹』を疑います。
『はじめて発熱して受診しました』という保護者には、もれなく『突発性発疹』の説明をしています。
初めての発熱ですと、色々と保護者の方々は不安があるでしょう。
ですが、不安の多くは知らないこと(無知)からの要素が大きいです。
突発性発疹の経過を知っておくだけで、漠然とした不安から解放されるかもしれません。
9位 トイレ・トレーニングとオムツが外せる時期について
一般的に排尿・排便が昼も夜もコントロールできるようになる年齢は;
- 2歳 5%
- 3歳 10%
- 4歳 77%
- 6歳 91%
といわれています。
オムツが外せる時期は個人差が大きいので、焦らず、気長にトイレ・トレーニングをしていくとよいでしょう。
ポイントは『焦らない・怒らない・急がない』です。
8位 扁桃腺肥大と手術適応について
こちらの記事では扁桃腺肥大と手術適応について書いています。
扁桃腺が大きいと
- 発熱を繰り返す
- 夜間にいびきをかく(睡眠時無呼吸)
などの原因になります。
小児の場合、扁桃腺は細菌やウイルスを攻撃する役割も大きいため、摘出するには適切な時期と適応があります。
7位 薬の飲ませ方と相性のよい食品を紹介します
こちらは、私と友人医師・薬剤師さん複数で、薬の味見をした時に書いたメモをもとに記事を作りました。
相性は私の独断と偏見も大いに入っていますので、注意してください。
(割と味覚はこどもに近いと自負しています)
6位 【書評】ネイティブに笑われないクールイングリッシュ(著者:サマーレイン)
すみません、こちらは医療とは全く関係ないのですが、書評を時々書いています。
『ネイティブに笑われないクールイングリッシュ』を読んで、『まさにその通り!』と思ってしまったため、ブログで紹介させていただきました。
こちらの記事はサマー・レイン先生がテレビやラジオに出演するたびに、突然、爆発的に読まれています。(3回ほど爆発しています)
5位 熱が出た時、冷やしたほうがいいですか?温めたほうがいいですか?
急な発熱で受診され、外来で最も多く質問されるのが『発熱した時は、冷やした方がいい?温めたほうがいい?』です。
(なぜか帰り際に質問されることが多いです)
温めたほうがいいタイミング、冷やしてあげたほうがいいタイミングがそれぞれありまして、こちらで詳しく説明しています。
4位 ホクナリン・ツロブテロールテープ・セキナリンテープは咳止めではない
抗生剤、咳止め、鼻水止めとともに、小児科外来で最も乱用されているのがこちらの薬です。
気管支拡張薬のテープは、貼るだけでよいので、保護者からも絶大な人気があります。
ですが、
- 咳止めと勘違いされて使用している
- 実は怖い副作用がある
といった点を十分に理解されていないため、こちらの記事でわかりやすく説明しています。
全ての薬には副作用がありますので、賢く選択する必要があります。
3位 風邪でペリアクチン、ポララミンを飲むのはやめよう
『鼻水が出たので、鼻水止め(第一世代の抗ヒスタミン薬)をください』
という受診は多いです。
第一世代の抗ヒスタミン薬は副作用が多く、風邪や中耳炎に対する有効性も不確かであるため、基本的には使用はおすすめしていません。
米国小児科学会などでは、乳幼児に使用しないよう勧告も出ている薬ということは、知っておいてよいでしょう。
こちらの記事では、「なぜ鼻水止めが体に悪いのか?」を説明しています。
2位 ステロイド軟膏の使い方のポイントをまとめてみました
ステロイド軟膏を処方してもらったけれど
- ステロイドって怖くて使いたくない
- 塗り方が分からない
- やめるとすぐ悪化する
など、保護者の方々からの相談も多いです。
私の経験上ですが、
- 処方時にきちんと薬の使い方を説明されていない
- 塗り方を指導されていない
- 副作用に関して説明されていない
- 副作用を最小限にする方法も説明されていない
という4つの問題を抱えているケースが多いと感じています。
ステロイド軟膏は正しく使えば早く止められますし、副作用も最小限に、効果は最大限にできます。
1位 胃腸炎で吐いていますが、吐き気どめの薬って効かないですか?
こちらはロングヒット作で、グーグル検索からの流入がずっと多い記事です。
『吐き気止めを飲んだけれども効かなかった』
というお子さんは非常に多いです。
そもそも吐き気止めとして処方されているナウゼリンやプリンペランといった薬の有効性は、複数の研究から疑問視されいます。
さらに、ヨーロッパなど海外の胃腸炎のガイドラインなどには、これらの薬は胃腸炎の治療の選択肢にすら入っていません。
*先日、ドクター佐久先生にもご紹介してもらいました!
胃腸炎の診療で聞かれますが、患者さんの希望が特に強くなければ、最近はあまり吐き気止めを処方しません。あまり効果がない割に、震えなどの副作用の方が心配だからです。ドクターキッド先生(@Dr_KID_)がとてもわかりやすくまとめてくださっています。ぜひご参考に。https://t.co/xBNzs8xRos
— 教えてドクター佐久@無料アプリ配信中♪ (@oshietedoctor) 2018年5月29日
以上、当ブログの2018年のトップ10の記事でした。
おまけ
査読記事:HPVワクチンと子宮頸癌について
こちらの記事は投稿したその日だけで10,000PVアクセスを集めました。
とある科学誌に『HPVワクチンが原因で子宮頸癌の発症率が増加している』と投稿されたのですが、投稿者が架空人物(?)であったり、投稿元の研究所は研究の存在を認めておらず、医療界で問題となった論文です。
実際に論文の内容の良し悪しについて、普段、健康に関するデータを取り扱う専門家(疫学者)として、精読し評価しました。
(英語論文の査読を年間30〜50本ほど行なっていますが、同様な作業をしています(地味な仕事です))
論考:『かぜは自然に治る』という感覚も大切に
同じ小児科の先生方や、他科の先生、医療関係者の方々から共感のメッセージを沢山いただいた雑記(論考)です。
『かぜをひいたら受診して、薬を処方してもらう』を漫然と繰り返していると、「カゼで薬を飲むこと」が当たり前になってしまい、「薬を使わなくてもカゼは治る」という当たり前の事実が、本当に信じられなくなってしまいます。
医師から薬を処方する理由が十分に説明されておらず、「薬を使わなくてもカゼは治る」という事実を信じられなくなってしまった保護者の方々を、私は沢山診てきました。
私は、こんな現代の医療のあり方に悲しみすら感じています。