小児科

小児栄養学 〜その2:マクロビオティックなど菜食主義はエネルギー摂取不足になりやすい〜

前回は、こどもの菜食主義について、一般的なことを説明してきました。

こどもの菜食主義は、エネルギーの摂取不足で成長障害が起きやすいため、計画性が非常に重要です。
今回は、菜食主義と主にエネルギー(カロリー)摂取不足について説明していきます。

どの栄養素に気をつけるべきか?

菜食主義の場合、肉や魚から得られる栄養素が不足しがちになります。

例えば;

  • 総エネルギー(カロリー)
  • タンパク質
  • 鉄分・亜鉛・カルシウム
  • ビタミンD、ビタミンB12
  • ω-3脂肪酸

あたりは要注意です。

菜食主義のこどもがカルシウム不足であった例

こちらの研究はアメリカのミネソタで行われたものですが、思春期の子供が菜食主義か否かで、栄養素の偏りをみています。

菜食主義の子供のほうが;

  • 飽和脂肪酸の摂取量が多い
  • 野菜の摂取量が多い
  • フルーツの摂取量が多い

と野菜・フルーツの摂取量などが多いと報告されていますが、逆に

  • カルシウム摂取量は少なく、一日必要量に満たなかった

とされています。

摂食障害も注意が必要

10代ですと(特に女子)摂食障害にも注意が必要です。

菜食主義者のほうが、かくれて大食いをしていた、不健康な食生活をしていた、というデータもあります。

菜食主義が食生活に変化を与えたいうより、もともと痩せ願望が強い子供が菜食主義を選んでいる(因果の逆転)可能性もありえますので、さらに研究は必要でしょう。

菜食主義はエネルギー摂取不足になりやすい

食事から摂取できるエネルギーは、成長・発達に欠かせません。

菜食主義の子供は、様々な理由からエネルギー摂取不足になりやすいです。理由として;

  • 野菜など食物繊維はエネルギーが低い
  • 十分な食事摂取の前に、空腹を満たされてしまう

ことが挙げられます。

特に幼児は体格に必要なエネルギー摂取量に比べ、胃が小さいため、特に注意をしなければなりません。

思春期に菜食主義をしたいと言い出す子供は、摂食障害に注意が必要

また、思春期に入った子供が「ベジタリアンになりたい」と言い出したら、保護者は摂食障害にも注意してください。

「健康的な食生活を送りたい」という建前に「痩せ願望」が隠れていることがあります。

どのようにエネルギー不足を補うか

食物からもエネルギー摂取をある程度補うことができます。例えば;

などが代表的でしょう。

効率的にエネルギー摂取ができる食品を選ぶことで、エネルギー不足を最小限に抑えることができます。

まとめ

こどもの菜食主義はエネルギー不足になりやすく、身長・体重の成長を妨げる可能性があります。

また、特に10代女子の場合、摂食障害かどうか気をつけたほうがよいでしょう。

菜食主義は行わない方がよいと考えていますが、もし信条などに伴い行う場合、栄養の専門家の指導をいれたほうがよいでしょう。

エネルギー不足を補う食品として、ナッツ、豆、アボガド、ドライフルーツ、乳製品、全粒粉パンなどがあります。

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関連記事:乳幼児へのマクロビオティックについて

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Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。