今回はこどもの咳について、広く浅く説明していきましょう。
Dr.KID
よくある咳だからこそ、少し詳しく知っておくと良いと思います。
なぜ咳をするのですか?
咳は空気の通り道をきれいにしたり、異物が気管支や肺に入らないように起こる反射です。
乾いた咳と湿った咳
ひょっとしたら小児科医から『咳は乾いていますか?』と質問されたことがあるかもしれません。
乾いた咳とは、痰がらみのない咳のことをいいます(乾性咳)。
湿った咳とは、痰がらみのある咳のことです(湿性咳)。
重症な咳ってありますか?
咳をして、呼吸が苦しそうな状態が持続すれば、重症な咳と判断します。
咳の原因について教えてください
咳の原因を簡潔にリスト化すると;
- 感染症(かぜ、気管支炎、副鼻腔炎、肺炎など)
- 気管支喘息
- 異物誤嚥
- 癖(クセ)
- そのほか
に分かれます。
小児では感染症が圧倒的に多く、気管支喘息のこともあります。
医療機関に受診する目安を教えてください
おおよその目安ですが:
- 生後3ヶ月以下で咳が続く
- 呼吸が苦しそう
- 呼吸が早い
- 血痰が出た
- 水分がとれない
- 発熱し、咳がでて、ぐったりしている
- 咳がひどくて嘔吐した
- 陥没呼吸がある
の場合は、お早めに受診されたほうが良いでしょう。
陥没呼吸って何ですか?
上のイラストのように、呼吸をしているとき(特に息を吸う時)に肋骨が浮き出ている状態を「陥没呼吸」いいます。
Dr.KID
呼吸が苦しい状態ですので、お早めに受診しましょう。
咳がずっと続いています
咳が2〜3週間以上続く場合も受診されたほうが良いでしょう。
通常の風邪であれば、およそ2週間前後で軽快することが多いです。
咳の原因を調べる検査はありますか?
風邪であれば検査は不要ですが、重症であったり、長引いている場合は検査をします。
例えば;
- レントゲン
- 感染症検査(百日咳、マイコプラズマ、RSウイルスなど)
- 呼吸機能検査(6歳以上)
- 気管支鏡(異物誤嚥を疑ったら)
を行うことがあります。
家庭で咳を和らげる方法を教えてください
- 水分摂取を多く
- 寝室は加湿する
- (ひどい時は)お風呂場などでお湯の蒸気を吸わせる
などをすると咳が軽快すると思います。
6歳以下なら咳止めの市販薬は飲まないで
市販薬にはコデインや抗ヒスタミン薬が入っています。
コデインは鎮静作用が強く、抗ヒスタミン薬はけいれんを起こしやすくなります。
ですので、6歳以下では市販薬は飲まないほうがよいでしょう。
咳の治療はありますか?
風邪による咳であれば様子をみているだけで2週間前後で軽快します。
治療が必要となるのは:
- 細菌感染(副鼻腔炎、肺炎など):抗生剤を使用
- 気管支喘息:ステロイドや吸入薬
- 異物誤嚥:気管支鏡で異物を摘出
などがあります。
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