『身長が低くて心配です。何か病気でしょうか?』と外来で相談されることが時々あります。
特に4-5歳〜10台までのお子さんの保護者から相談が多い傾向にあります。
身長・体重計測して医師に診てもらえる健診は3歳で終わり、その後は相談先があまりないので、外来受診の時に気になっていた思いを伝えてくれたのだと思って、いつも相談にのっています。
身長が低くても、何か病気が隠れていることは少ないです
『身長が低い(低身長)=病気が隠れている』と心配される保護者はそこそこいます。
ですが、病気があることのほうが少ないです(とはいえ、病気が隠れていることが稀にあります)。
ですので、過度な心配はされなくて良いと思います。
身長が低い主な原因
低身長の原因として多いのは主に3つでして;
- 父または母、あるいは両方とも背が低い
- 成長スパートが遅く、遅れて背が高くなる
- 成長スパートが早く、最初は周りより背が高かったが、後に追いつかれた
の3つのパターンです。
*成長スパート:思春期に急激に背が高くなる時期をいいます
背が伸びなくなる病気・原因
病気で背が伸びなくなることは多くはありませんが;
- やせすぎ
- 慢性疾患(心臓・肺・腎臓・血液など)
- 成長ホルモンの分泌が少ない
- 遺伝子異常
などが原因で背が伸びにくくなることがあります。
成長ホルモンって何ですか?
成長ホルモンは脳にある下垂体から分泌されています。
特に夜間に分泌され、背を伸ばしたり、筋肉を発達させる効果があります。
検査は必要でしょうか?
どのような検査をするかは、患者さんにより異なります。
低身長の原因を問診しながら判断することが多いです。
- 成長曲線をつける
- 血液検査(成長ホルモンの量)
- レントゲン(手:骨年齢をみる)
の3つを行うことが多いです。
成長曲線について
お子さんの身長と体重がどのように推移したのかが非常に重要です。
受診相談されるときは、年齢毎に計測された身長と体重のメモや母子手帳を持参すると良いでしょう。
成長曲線はこちらのサイトで簡単につけることができます。
低身長は治療が必要ですか?
低身長は治療が必要なことも、必要でないこともあります。
曖昧な回答ですが、原因と低身長の程度によると思います。
慢性疾患による低身長の場合
慢性疾患による低身長のこともあります。
例えば、喘息のコントロールが悪かったり、(稀ですが)炎症性腸疾患のため低身長になっていることもあります。
この場合は、喘息など慢性疾患をしっかり管理することで、結果として身長が伸びてくれます。
成長ホルモンの分泌量が少ない場合
この場合は成長ホルモンの補充が必要となります。
通常は、年単位で治療を行います。
成長ホルモンを補充しても、必ずしも背が高くなるわけではありません。
またホルモン補充療法はコストが高く、年単位の治療が必要なため、適応については小児内分泌の医師と相談することが多いです。
日常生活でのアドバイス
食事の量と種類を見直すとよいと思います。
大きな病院であれば栄養士さんと相談できることもあります。
また、十分な睡眠時間を確保するようにしましょう。
低身長だと学校で「チビ」と言われたり、からかわれて、いじめられているケースもあります(特に男の子)。
このため、子供の自尊心が大きく損なわれていることもあります。
身長以外で何か得意なことを伸ばして、自尊心を回復できるように促すとよいでしょう。
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