肺炎と聞くと何となくイメージがつくでしょうが、それでも私たち小児科医と保護者の方々では理解や知識は異なると思います。
今回は、肺炎について、小児科医なりに解説をしていこうと思います。
肺炎とは肺の感染症
肺炎はその名の通り「肺に感染が起きて炎症がある」状態をいいます。
肺に感染する微生物は、ウイルスや細菌がほとんどでしょう。
特徴として、5歳未満はウイルスによる肺炎が多く、5歳以上は細菌による肺炎が比較的多いです。
▪️ 肺炎の症状を教えてください
肺炎の症状は;
- 咳
- 発熱
- 呼吸が苦しい
- 呼吸時に胸が痛い
- 食事や水分が摂取できない
などが多いです。
肺炎の患者さんがみんな同じ症状というわけではないですが、咳と熱が出て呼吸が苦しそうにしていたら、まず肺炎を疑います。
病院への受診の目安
病院への受診の目安ですが、肺炎を疑ったら受診をされてよいでしょう。
具体的には、上に書いた「咳と発熱があり、呼吸が苦しそう」なら、間違いなく受診されてよいと思います。
▪️ 救急車を読んだほうが良い場合
肺炎でも救急車を呼んだほうがよいケースがあり;
- 呼吸が止まってしまった
- 顔が真っ青
- 呼吸が苦しそう
- ゼーゼーとした音がはっきりと聞こえる
ような時は、速やかに受診されたほうがよいでしょう。
肺炎の治療について
治療方法は年齢や呼吸状態、感染の原因となった細菌・ウイルスにより異なります。
細菌性の肺炎を疑えば抗生剤を使用しますし、呼吸が苦しければ酸素を吸わせます。
▪️ 入院が必要になる肺炎
- 呼吸が苦しくて酸素を吸う必要がある
- 食事・水分が全くとれない
- 必要な薬(抗生剤)が内服できない
- 外来で治療しても軽快しない
などは入院の適応になると思います。
▪️ 外来で治療できることもあります
「お子さん、肺炎ありますよ」と言うと、「入院ですよね?」と保護者から聞かれることもあります。ですが、肺炎があっても必ず入院が必要というわけではありません。
本人が比較的元気で、呼吸が安定しており、食事・水分がしっかり摂れるなら、外来でお薬を処方して、自宅で加療できることもあります。
▪️ どのくらいで軽快しますか?
ケースバイケースですが、有効な抗生剤を開始した場合、およそ2−3日で熱が下がってくると思います。
逆に、抗生剤を開始して2−3日しても軽快しない時は、再受診されたほうがよいでしょう。
抗生剤が菌に効かなかったか、そもそも熱の原因が細菌でない可能性を考えます。
咳は数週間続くことがありますが、熱が下がって本人が元気であれば、あまり心配しなくてよいことが多いです。
▪️ 肺炎の予防はどうしたらよいでしょうか?
まずは予防接種をしっかりと受けましょう(肺炎球菌・Hib・インフルエンザなど)。
一部の肺炎はワクチンで予防できます。
また、手洗いをしっかりしましょう。
食事を食べる前、外出後など、こまめに手指をきれいにすると良いでしょう。
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