潰瘍性大腸炎(かいようせいだいちょうえん)とは、何らかの原因で大腸に炎症が起きて、潰瘍ができてしまった状態をいいます。
大腸の位置は下のイラストの通りです。
潰瘍性大腸炎の症状について
潰瘍性大腸炎の症状は重症度により様々ですが、典型的なものは
- 下痢
- 血便
- 腹痛
- 発熱
です。
▪️ 小児の場合、非典型的なこともあります
なかには、こういった症状が全くなく、
- 体重が増えない(あるいは体重が減った)
- 関節痛がある
- 目に違和感がある
- 発疹がよく出る
といった非典型的な症状からみつかることもあります。
私も過去に、全く下痢はないけれど、3週間ほど夜に発熱があり、足首の痛みで紹介受診された小児で、熱の原因を様々な角度で精査をしてしたら、潰瘍性大腸炎と判明した経験があります。
潰瘍性大腸炎の診断で検査は必要ですか?
基本的に検査は必要して
- 血液検査
- 画像検査(レントゲン、超音波、CT/MRI)
- 大腸内視鏡
を行うことが多いでしょう。
内視鏡では見た目が潰瘍性大腸炎らしいかを判断し、さらに腸の組織を採取して、病理の先生と一緒に組織を顕微鏡でみます。
潰瘍性大腸炎の治療について教えてください
潰瘍性大腸炎の治療は重症度によって異なります。
主な治療として
- 薬を大腸に直接投与する(注腸)
- 5-ASA(アミノサリチル酸)
- 免疫抑制剤(6-メルカプトプリン、アザチオプリン)
- 生物学的製剤
などを使用しています。
成長期に潰瘍性大腸炎があると、十分な栄養が摂取できなかったり、薬の副作用で身長・体重の成長が妨げられることがあるので、注意深く経過をみていきます。
手術は必要ですか?
飲み薬などの治療で軽快しない場合、手術が必要になることがあります。
炎症を起こしている大腸を摘出する手術になります。
大腸ガンのリスクは上がりますか?
小児の潰瘍性大腸炎も大腸ガンのリスクが上がることがわかっています。
このため、潰瘍性大腸炎が見つかってから一定の期間が経過したら(例えば10年後以降)、1〜2年毎に内視鏡検査を受けることが勧められています。