『学校の検診で血尿を指摘されました』と受診されることがあります。
『血尿』とは、腎臓・尿管・膀胱のいずれかから出血して、尿に血液が混ざった状態をいいます。
血尿と聞くと恐ろしいイメージを持つ方が多いでしょうが、小児の場合は原因により様々でして、必ずしも重症とは限りません。
血尿のタイプについて
主に2種類の血尿があります:
- 肉眼的血尿
- 顕微鏡的血尿
に分類されています。
1. 肉眼的血尿
その名の通り、裸眼で見えるレベルで尿の色が変化した状態をいいます。
尿の色はピンク色だったり、赤色だったり、茶褐色だったりします。
もし小児の尿の色が見た目でわかるほど赤色になっていたら、すぐに医療機関へ受診されてください。
2. 顕微鏡的血尿について
顕微鏡的血尿は、見た目は普通の尿の色ですが、顕微鏡でみると血液が混ざっているのが分かる状態です。
検診やクリニックの外来では1人1人を顕微鏡でみることができないので、リトマス紙のような試験紙を使って判断しています。
血尿の原因について
血尿の原因は様々です。代表的なものは
- 尿路感染症
- 結石
- 尿道炎
- 外傷
- 運動のしすぎ
- 腎疾患(腎炎など)
が代表的でしょう。
悪性腫瘍を心配される保護者もいますが、小児で腎臓や尿路に悪性腫瘍ができることは基本的に稀です。
見た目の色が変わっても、実は血尿でないことも
尿の色が変わっていても、実は血尿でないことがあります。
一部の薬(セフゾンやアスベリン)で尿の色が赤っぽくなってしまうことがあります。
血尿に伴う症状について
血尿と一緒にどのような症状があるかも非常に重要です。例えば;
- 発熱
- 痛み
- 浮腫み
などを伴うことがあります。
感染症の場合
尿路感染症の場合、高率で発熱を伴うと思います。
発熱以外ですと、排尿痛や頻尿、下腹部痛を認めることもあります。
結石の場合
小児の尿管結石は多くはありませんが、可能性としてはありえます。
鋭い痛みを脇腹に訴えることが多いと思います。
腎炎の場合
腎炎の場合、一緒にタンパク質も尿から出て行くことがあり、体が浮腫んだりします。
高血圧になったり、頭痛を訴えることもあります。
血尿を認めた時の精査について
血尿を認めた場合;
- 尿検査を繰り返す
- CTや超音波など画像検査
- 血液検査
- 血圧測定
など、原因検索をすることになると思います。
場合によってはご家族も一緒に
少量の血尿が続く原因として、家族性の血尿(良性家族性血尿)があります。
血尿が重度になることは非常に稀で良性の疾患ですが、小児の顕微鏡的な血尿が持続する疾患として多いため、ご家族の血尿の有無をお聞きすることもあります。
まとめ
血尿も肉眼的にわかるほどの血尿か、顕微鏡でしかわからないほど少量の血尿かに分けられます。
血尿の原因は様々ですので、血尿の量や随伴する症状によって追加する検査は異なります。
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