前回、新生児黄疸は体内にビリルビンが蓄積することが原因と説明してきました。
今回は新生児黄疸の合併症と治療について説明していきます。
新生児の黄疸の合併症について
黄疸は血中のビリルビン濃度が高くなると起こりますが、高くなりすぎると脳に対して有害な作用を示します。
脳に対する有害な作用は、可逆性と不可逆性のものがあり、
- 可逆性:急性ビリルビン脳症
- 不可逆性:核黄疸
と呼ばれています。
黄疸の治療について
黄疸の治療のゴールですが、安全にビリルビンの値を安全領域に下げることにつきます。
1. しっかりと哺乳させる
生まれたばかりですと、母乳やミルクを飲ませることで黄疸を軽減させることができます。
というのも、母乳やミルクの量が足りていないと脱水になり血液が濃縮するためビリルビンの血中濃度があがります。
さらに腎臓や肝臓からの排泄量が減少したり、腸から再吸収されるため、ビリルビンが低下しづらくなります。
2. 光線療法
光線療法が最も一般的な治療法ですし、治療が必要な新生児黄疸の大半は光線療法でことたります。
青っぽい光をあてることでビリルビンを分解し、便や尿から排泄しやすくします。
注意点としては;
- 目に光線が入らないようにする
- 光線を発する機械が発熱していないか気をつける(やけどしてしまいます)
です。
光線療法がなかった時代や、途上国では日光に当てているようですが、日焼けやそれに伴う脱水などが問題になります。
光線療法が可能な状況であれば、日光より機器を使用した方がよいでしょう。しかし、光線療法にもいくつか副作用があるます:
- 発疹・便がゆるくなる
- 皮膚が灰色になる(ブロンズ・ベビー症候群)
- 脱水
3. 交換輸血
光線療法は比較的ゆっくりビリルビンの血中濃度を下げてくれますが、光線療法での低下が待てず、急速にビリルビンの血中濃度を下げたい時に交換輸血を行うことが多いです。
新生児の血液を輸血で交換することで、血中のビリルビン値を下げることができます。
重症な黄疸を防ぐために
新生児黄疸は一定の割合で生じてしまいますが、急性ビリルビン脳症や核黄疸のような重症な黄疸は防ぐ必要があります。
ポイントとしては;
- 血中にビリルビン濃度を計測する
- 高値になる恐れのある場合は、ビリルビン濃度を定期的にモニターする
- 治療は早めに行う
のがよいでしょう。
まとめ
新生児黄疸の治療は急性ビリルビン脳症や核黄疸を防ぐことにあります。
治療法は適切な哺乳量を保つ、光線療法、交換輸血があります。