小児科

肥厚性幽門狭窄症について教えてください

肥厚性幽門狭窄症ってなんですか?

肥厚性幽門狭窄症は、その名の通り胃の出口である幽門(ゆうもん)部が肥厚して、狭くなってしまった状態をいいます。

少しイメージしづらいと思いますので、イラストを使ってみていきましょう。

胃はどこになりますか?

実際に体の断面図をみたほうがわかりやすいと思いますので、こちらをご覧ください。

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赤矢印で示した場所が胃になります。口から飲み込んだものは、食道を伝ってまず胃に入ります。

幽門部は胃の出口にあります

幽門部は下の図に示した通り、胃の出口になります。

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赤矢印で示した場所にある筋肉が肥厚してしまい、胃の出口を塞いでしまった状態が肥厚性幽門狭窄症といいます。

ミルクや母乳が胃で停滞してしまます

幽門部が塞がれてしまうと、赤ちゃんが飲んだミルクや母乳は胃の中で停滞してしまいます。

その結果、胃が満杯になってしまい、最終的に吐き戻してしまうのです。

肥厚性幽門狭窄症の症状について

肥厚性幽門狭窄症の症状は嘔吐がメインです。

嘔吐は「噴水状嘔吐」といい、マーライオンのように勢いよく母乳やミルクが口から噴出します。

胃より先にミルクや母乳が進まないので、赤ちゃんはお腹が空いたままです。

このため、吐いた直後でも、また母乳やミルクを欲しがります。

肥厚性幽門狭窄症の起こりやすい時期

肥厚性幽門狭窄症は、生後3週間から6週間の間に起こりやすいです。

生後3ヶ月以降に起こることは非常に稀です。

肥厚性幽門狭窄症の検査について教えてください

保護者の方との問診で、生後3〜6週間のお子さんが、ミルクや母乳を飲んだ直後に「噴水状の嘔吐」を繰り返して、体重増加が悪い場合は、肥厚性幽門狭窄症を強く疑います。

触診でオリーブ様の腫瘤が触れることがあります。

確定診断には超音波を用いた検査をすることがほとんどでしょう。

超音波で幽門部が肥厚(厚くなって)いるのを確認して診断を確定します。

肥厚性幽門狭窄症の治療について

治療は手術と点滴治療の2つがあります。

手術では、幽門が肥厚している場所に切開を入れ、幽門を広げます。

点滴では硫酸アトロピンで行う治療です。

後者の点滴による治療は、手術をしなくてよい反面、有効性がはっきりしていないため、手術を選択する病院が多いと思います。

まとめ

肥厚性幽門狭窄症は、胃の出口である幽門部の筋肉が肥厚して、ミルクや母乳の通り道を塞いでしまう病気です。

治療は手術と点滴がありますが、手術をするケースが多いと思います。

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。