- 『マラリアってなんですか?』
- 『熱帯地域の感染症なので、日本は関係ないですよね?』
- 『日本にマラリアが流行していた時期があるって本当ですか?』
など、マラリアの名前は知っているけれど、どんな病気か詳しく知らない方が多いのではないでしょうか。
マラリアは熱帯地域で広く流行している感染症ですが、過去のデング熱のように、急に日本で発生する可能性はありえると思います。
今回はマラリアについて解説していきます。
マラリア流行の歴史 :100年で北から南へ
マラリアと聞くと、東南アジアやアフリカで流行している
1900年頃、マラリアはロシア・北欧などを中心に流行していました。
2000年までの100年間徐々に南下してきて東南アジア・中東・アフリカ・南アフリカへと流行地域が変わってきています。
昔は日本にもマラリアが流行していました
上の流行図を見ていただくとわかりますが、(戦前の話になりますが)かつて日本でもマラリアは流行していました。
しかし、現在は日本でのマラリアの土着ではなく、海外から帰国した人が感染していた例が多いです。
デング熱などが日本でも起こっているため、今後、地球温暖化とともに、日本への輸入そしてその後の生息が懸念されている感染症です。
マラリア感染は、4歳未満の場合は重症化のリスクが高く、注意が必要です。
マラリアの種類について
マラリアは
- 熱帯熱マラリア (Plasmodium falciparum)
- 三日熱マラリア (P. vivax)
- 卵型マラリア (P. ovale)
- 四日熱マラリア (P. malariae)
の4種類でした。
近年、サルマラリア(P. knowlesi)が5種目として確認され、注目されています。
マラリアの感染経路について
いずれも蚊(ハマダラカ属の雌)を介してヒトに感染します。
血液を介した感染ですので、
- 輸血
- 違法ドラッグの注射
- 臓器移植
などでも理論上は起こります・
感染すると肝臓などを介して血液に寄生します。
マラリアの症状
潜伏期間について
マラリアに感染してから症状が出るまでの期間を「潜伏期間」といいます。
マラリアの潜伏期間は10〜14日くらいで、発熱が最初の症状として多いです。
マラリアの症状について
最初は寒気を伴い、後に高熱となることがあります。
発熱時には、大量の発汗をします。
解熱しても倦怠感があり、48-72時間毎に発熱を繰り返すことが典型的です。
このように2−3日おきに発熱するのは、マラリアが血液中の発育に要する期間に一致しているためです。
発熱以外にも、貧血・脾腫を認めることが多いです。
熱帯熱マラリアについて
熱帯熱マラリア 非常に重篤なマラリア感染で、死亡率は25%といわれています。 アフリカで広く流行している感染症です。
三日熱マラリアについて
中国・韓国・インドなどで多いタイプのマラリアです。
熱帯熱ほどではありませんが、重症化することがあり、 一度軽快しても、再発しやすい傾向があります。
マラリアの診断について
流行地域への渡航歴や、周期的な発熱が参考になります。
確定診断には、血液を採取して、顕微鏡で原虫を確認することでできます。
12時間毎、最低3回は血液塗末をします。
これは、血液検査1回だけで否定するのは困難であるためです。
最近では迅速検査もありますが、実施できる医療機関は限られています。
その他、血小板減少、貧血、黄疸などをみとめることもあります。
マラリアの治療について
急性の発熱発作に対しては クロロキン、メフロキン などの抗マラリア薬を使用します。
予防投与として使用することもあります。 クロロキン、メフロキン、ドキシサイクリンなどがあります。
ワクチンについて
マラリアのワクチンは何十年も開発されているが、未だに有効なワクチンがありません。
蚊に刺されるのを予防することが重要です。