第1回では、こどもと親の双方がトイレトレーニングの準備ができているかを説明してきました。
第2回では、具体的にどのようにトイレトレーニングをすればよいかを簡単に解説してきました。
最後は、トイレトレーニングを成功させるポイントを説明していければと思います。
トイレトレーニングのポイント
トイレトレーニングを成功させるために重要な点がいくつかあります。
決して怒らない、焦らない
前回もこのことは触れましたが、こどもが思ったようにトイレトレーニングが進まないと、保護者も焦ってしまいます。
その結果、怒ったり、罰をしたり、といった行為をしてしまいます。
まだ言葉の理解も十分にできない時期で、理性的にはなれないのが幼児です。
怒ったり、罰をしたりすると、かえってトイレを怖がるようになり、結果的にトイレトレーニングが長引いてしまいます。
うまくいかない時は、一旦、中断してみるとよいと思います。
数週間ほど中断してみたり、本人がトイレにいきたいと言った時に再開してみてもよいでしょう。
上手にできたり、進歩が見られた時は、いっぱい褒めてあげましょう。
怖がることはしない
本人がトイレに座るのを怖がってしまうようなら、無理して座らせないようにしましょう。
また、こどもがトイレに座っているのに、トイレを流してしまうと、怖がるお子さんも沢山います。
恐怖体験として、心に刻まれてしまうため、怖がることは避けるようにしましょう。
衣類について
できるだけトイレで脱ぎやすい衣類にしましょう。
あと、外出する時などは、トイレを失敗した時ように、衣類を余分に用意しておくと良いでしょう。
トレーニング前に便秘の治療を
お子さんに便秘があると、トイレトレーニングが上手くいかないことが多いです。
この場合は、先に便秘の治療を進めて、排便がスムーズに出る状態にするとよいでしょう。
便秘については、以下で詳しく記載しています:
トレーニングパンツや下着について
こども用の便座で上手に排泄できるようになったら、トレーニング用のおむつやパンツに変えていくとよいでしょう。
夜も昼も排尿・排便がしっかりコントロールできるようになってから、下着を着せるようにするとよいでしょう。
トイレの習慣も身につけるとよいでしょう
トイレにいく習慣づけも重要です。たとえば、
- 朝起きた後
- 食事の後
など、排泄しやすい時間帯だけで十分ですので、トイレにいくように促しましょう。
トイレトレーニングと保育園・幼稚園
保育園・幼稚園に行き始めの頃は、
- トイレに行きたいことを先生に上手く伝えられなかったり
- 慣れない環境でトイレに行くのが嫌になってしまったり
- トイレのことを忘れて遊びに夢中になったり
など、お漏らしをしてしまうことが多々あります。
なんども失敗してしまう場合は、ご家族と保育園・幼稚園の先生と話し合いをして、一緒に解決策を探るとよいでしょう。
トイレトレーニング中によくある相談
トイレトレーニングが、なかなか上手くいかず、外来でもよく相談をうけます。
ここからは、簡単に相談内容にお答えしてみます。
この間までは上手くできていたのですが…
『先週までは上手くできていたのですが、急にもとに戻ってしまいました』
とご相談されることがあります。
特にトイレトレーニングの初期で起こりやすい問題です。焦らずに、これまで出来たところに戻るとよいでしょう。
昼も夜も、排便・排尿が完璧にコントロールできるようになった後も、急にできなくなってしまうことがあります。
こどもは環境の変化に弱く、心理的な変化でできなくなってしまうことがあります。
繰り返す場合、尿路感染症のこともありえますので、ご相談されてもよいと思います。
夜にお漏らしをしてしまいます
5歳のこどもでも20%くらいは、6歳でも10%くらいは、夜にお漏らしをします。
夜の排尿コントロールが一番難しいので、焦らずに様子をみましょう。
トイレを嫌がります
20%くらいの小児はトイレを嫌がります。
おしっこはしてくれるけれど、うんちは嫌がるケースもあります。
嫌がっている場合は、
- 数週間〜数ヶ月(あるいは本人がトイレに興味を示すまで)くらい中断する
- お兄ちゃん、お姉ちゃんがいれば、トイレの手本をお願いする
- 上手くできたら、好きなキャラクターのシールなどで本人と記録してみる
- 自分でおむつを交換するようにしてみる
- 嫌がる原因(便秘など)がないか、探してみる
あたりが役立つことがあります。
決して無理して続けないようにしましょう。トイレがどんどん嫌になってしまいます。
まとめ
3回にわたってトイレトレーニングについて解説してきました。
今回の解説のため、色々と調べてみましたが、意外と奥深い分野です。
今後も役に立ちそうな文献、面白い論文があれば、ブログで引き続き報告していこうと思います。