『急に赤いブツブツができて、すごく痒がっています』と受診されることがあります。
おそらく蕁麻疹でしょう。
小児では蕁麻疹は非常に多く、原因不明であることがあります。今回は蕁麻疹について説明していきましょう。
蕁麻疹の特徴について
蕁麻疹の特徴は、
- 赤く膨隆している
- 痒みを伴う
皮膚の発疹です。通常は蕁麻疹は痛みを感じないです。
蕁麻疹は皮膚の免疫反応で起こります
蕁麻疹は『肥満細胞』などの免疫細胞が活性化することで起こります。
『肥満細胞』が活性化すると、ヒスタミンという物質が放出され;
- 痒み
- 赤み
- 皮膚の膨隆
といった皮膚の症状が起こるのです。
血管浮腫と蕁麻疹はなにが違いますか?
蕁麻疹と似たような現象で、『血管浮腫』があります。
血管浮腫は蕁麻疹と似たようなメカニズムで起こりますが、蕁麻疹より皮膚の深い場所で起こっています。
このため、
- 顔・まぶた・耳・口・手足の腫れ
- 体の片方の浮腫
- 皮膚が赤い
といった症状になります。
気をつけたほうがよい蕁麻疹・血管性浮腫について
蕁麻疹も血管性浮腫も、基本的には命の危険にさらされることは少ないですが、
- 呼吸がしづらい
- 喉に違和感がある
- 嘔吐・吐き気がある
- お腹が痛い
- 意識を失ってしまった
などの症状を伴うことが稀にあります。
このような場合は、すぐに医療機関に受診しましょう。
蕁麻疹の種類について
蕁麻疹は大きく3つの種類があり;
- 急性蕁麻疹
- 慢性蕁麻疹
- その他
と分かれています。
急性蕁麻疹について
急性蕁麻疹は、その名の通り、急に発症して、比較的速やかに軽快する蕁麻疹です。
およそ数日から1〜2週間以内に治ることが多いでしょう。
急性蕁麻疹の原因について
急性蕁麻疹の原因として多いのは
- 感染症:80%はウイルス感染
- 薬:抗生剤など
- 虫刺され:蜂など
- 食物アレルギー
- 他のアレルギー:動物、ゴムなど
があげられます。
慢性蕁麻疹について
慢性蕁麻疹は4週〜6週以上続く蕁麻疹のことをいいます。
この場合、かなり長期間、蕁麻疹に悩まされることがあります(例えば、睡眠など)。
長く蕁麻疹が続くと「周りの人に移してしまうのではないか?」と思われる保護者の方もいますが、蕁麻疹は基本的に感染性はありません。
また、長く続くと「これは一生続くのでしょうか?」と心配されることもありますが、 ずっと続くことは稀で、50%は1年以内に軽快します。
蕁麻疹やそれに伴う症状(かゆみなど)は、薬である程度はコントロール可能です。
その他の蕁麻疹について
蕁麻疹は特定の環境などで誘発されることがあります。例えば、
- 寒さ(寒冷蕁麻疹)
- 体温の変化(コリン性蕁麻疹)
- 振動
- 圧迫
- 運動
- 日光(日光蕁麻疹)
などが有名です。
これらで誘発される蕁麻疹は長引く傾向にあります。
まとめ
今回は蕁麻疹・血管性浮腫について、そして蕁麻疹の種類と原因について解説してきました。
次回は蕁麻疹の検査や治療について詳しく説明していきます。