小児科

【小児の皮膚】こどものニキビの治療について【尋常性ざ瘡】

前回は、ニキビができるメカニズムや原因について解説してきました。

 今回はニキビの治療について解説していきます。

こどものニキビの治療は時間がかかります

ニキビは約8週間ほどのプロセスで発症しています。

このため、ニキビの治療を開始しても、すぐに軽快するわけではありません。

場合によっては治療を開始して軽快するまでに1〜3ヶ月ほどかかりますので、焦らずに確実に治療をしていきましょう。

こどものニキビ対策としてのスキンケア

ニキビはスキンケアが非常に重要です。ポイントは3点で;

  1. 皮膚の清潔
  2. 皮膚の保湿
  3. 日焼け予防

です。

1. 皮膚の清潔について

1日2回程度の洗顔で十分でしょう。

洗いすぎるとかえって皮膚が痛むので、1日2回くらいがちょうどいいでしょう。

顔用の洗顔フォームと温めの水で顔を優しくあらいましょう。

 ニキビを無理に潰そうとすると、ニキビがかえって悪化したり、腫れたり、別の場所が感染したりするのでやめましょう。

2. 保湿について

皮膚の保湿をしましょう。

保湿をすることで荒れた皮膚が回復しやすくなりますし、皮脂の分泌量も減るため、結果としてニキビが回復しやすくなります。

3. 日焼けも予防しましょう

皮膚のダメージを最小限にするため、日焼け予防は重要です。

特に思春期は部活動や学校の活動のため、屋外で日を浴びるケースが多いでしょう。

日差しの強い日に山や海に行く場合、SPF 30以上の日焼け止めを使うようにすると良いでしょう。

 ニキビの治療で、抗生剤(テトラサイクリン系)が処方されていることもあります。

一部の抗生剤は、日光に過敏になる副作用があるので、日差しに注意しましょう。

こどものニキビは自宅での治療で十分ですか?

軽いニキビであれば、上にあげたスキンケアでしばらく様子をみてもよいでしょう。

ですが、2〜3ヶ月ほどスキンケアしても改善しなかったり、スキンケアをしても悪化する場合は、皮膚科や小児科でご相談されるとよいでしょう。

小児のニキビの治療について

ニキビの性状によって治療方法が少し異なります。

 炎症のない小児のニキビ

炎症のないニキビとは、赤みや腫れがなく、先が白かったりや黒かったりする吹き出物のことをいいます。

この場合、レチノイド軟膏(ディフェリンなど)が使用されます。

レチノイド軟膏は特に日差しを受けると皮膚に刺激性があるため、夏場はSPF 30以上の日焼け止めを併用することをお勧めします。

レチノイド軟膏以外では、サリチル酸軟膏が使われることもあります。

 軽い炎症のある小児のニキビ

軽い炎症のあるニキビの場合

  • レチノイドの軟膏(ディフェリン)
  • 抗生剤入りの軟膏(アクアチムなど)
  • 過酸化ベンゾイル(ベピオゲルなど)

などが使用されます。

単剤で使用することもありますし、治りが悪い場合は複数の軟膏を組み合わせて使用することもあります。

 中等度以上の炎症がある小児のニキビ

ニキビが広範囲にあったり、軟膏での局所治療がうまく行かない場合、抗生剤の内服をします。

一般的に使用されているのはテトラサイクリン系の抗生剤(ミノマイシンなど)でしょう。

海外ではイソトレチノイン(ロアキュテイン)が使用されるケースがあるようですが、日本ではこの薬は未承認のようです。

まとめ

軽いニキビであれば自宅でのスキンケア(皮膚の清潔、保湿、日焼け予防など)で軽快することがありますが、時間がかかってしまったり、うまくいかないこともあります。

病院では、ニキビの性状から治療方法を選択したり、組み合わせたりして治療していきます。

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。