前回はC型肝炎の診断と治療について、簡単に解説してきました。
これまで、肝炎について説明してきて、A型、B型肝炎にも触れてきました。
あまり聞きなれないかもしれませんが、今回はD型肝炎について説明していきます。
D型肝炎ウイルスについて
D型肝炎はその名の通り「D型肝炎ウイルスに感染して生じる肝炎」です。
D型肝炎ウイルス
D型肝炎ウイルスは1本鎖RNAウイルスで、A型、B型、C型肝炎ウイルスとは構造的には類似していません。
D型肝炎ウイルスは不完全なウイルスで、単独では感染することができず、すでにB型肝炎ウイルスに感染している人のみに感染できます。
これは、B型肝炎ウイルスの複製機能を利用しないと、D型肝炎ウイルスが増殖できないためといわれています。
D型肝炎はどこで流行しているか?
北米や欧州など先進国での有病率は高くありませんが、日本や台湾での有病率は高いです。
(B型肝炎の5%がD型肝炎ウイルスに感染しているといわれています)
罹患率の高い地域として報告があるのは;
- 地中海
- 中東
- 中央アジア
- 西アフリカ
- アマゾン周囲
- 南太平洋諸島
があげられます。
D型肝炎の臨床経過について
一般的な肝炎の症状はこちらで解説しています。
潜伏期間といい、感染から症状が出るまでの期間は3〜7週間です。
D型肝炎ウイルスに感染経路について
D型肝炎ウイルスは、B型肝炎と一緒で血液感染します。
感染した血液が直接混入したり、粘膜を介して侵入することで感染が成立します。
検査について
感染しているか否かは血液検査でおこないます:
- 抗体検査
- PCR(遺伝子検査)
の2つを用いることが多いでしょう。抗体が陰性でも感染していることがあり、PCRのほうが好まれて使われています。
D型肝炎は重症化しやすい
慢性B型肝炎にD型肝炎ウイルスが感染すると、重篤な肝炎になることがあります。
80%の症例で、慢性の肝炎を起こし、60%〜70%で肝硬変を起こします。
致死率もB型肝炎ウイルス単独感染と比較すると、10倍も跳ね上がります。
まとめ
D型肝炎について、非常に簡単に説明してきました。
一部のB型肝炎ある方に感染するのですが、肝炎が重症化してしまうことがあり、注意が必要です。
次回はE型肝炎について説明しようと思います。
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