小児科

【患者相談】粉ミルクを使う時、飲ませ方、必要な道具について教えてください【お答えします】

  • 『完全母乳栄養をお勧めします』
  • 『出産すれば、母乳は必ずでますから』

と言う人がいます。確かに母乳のメリットが大きいので、このような発言をしているのでしょう。

その一方で、完全母乳栄養に固執するあまり、赤ちゃんが十分な体重増加をできていなかったり、お母さんが精神的にかなり追い詰められているケースも多々あります。

完全母乳栄養を過度に押し付ける医療者は確かにいて、そういった方に指導された新米ママたちが、困り果てて小児科に受診されることがあります。

なかには、脱水のせいで、赤ちゃんの黄疸が悪化して、入院となるケースもあります。 

 母乳のでやすさは人それぞれです

実際には、母乳の出にくい人も沢山います。

また、母親に病気があるため、母乳を飲ませられないこともあります。

完全母乳栄養にするか、人工栄養にするか、混合栄養にするかは、赤ちゃんとご家族で決めれば良い話で、医療者が押し付けるべきものではありません。

大事なことは、赤ちゃんに十分な栄養を供給することです。
まずは、赤ちゃんの体が大きくなることを最優先してください。

粉ミルクで育てるのに必要な道具

粉ミルクで育てるのに必要な道具は、

  • 哺乳瓶
  • 乳首
  • お湯のポット
  • びん洗いブラシ
  • びんばさみ(菜箸でもOK)

などでしょう。

 

 哺乳瓶の消毒を、専用の消毒器を使ってレンジで行う方もいます。

ミルクの飲ませ方について

「ミルクは3〜4時間おきに飲ませましょう」と言う方もいますが、必ずしもそうではありません。

最初は、母乳と一緒で、赤ちゃんが欲しがる時に、欲しがるだけあげるのが基本です。

飲む量にはムラがあります

赤ちゃんによって飲む量は異なります。また、毎回、同じ量を飲むわけではありません。

粉ミルクの缶には「〇〇ヶ月は1回 ◉◉ ml」と記載されていることがありますが、あくまで目安です。

多少は少なくても、過度に心配することはありません。

哺乳瓶で飲ませる時

哺乳瓶を水平にしすぎると、空気を飲み込んでしまうことがあります。

哺乳瓶の底を少し高くして、乳首の中に空気があまり入らないようにすると良いでしょう。

げっぷと一緒に吐いてしまうことがありますが、赤ちゃんが元気なら心配いりません。

 

哺乳瓶を嫌がることがあります

特に混合栄養をしていると多いのですが、母乳の後にミルクを足そうとしても、赤ちゃんが嫌がって飲んでくれないことがあります。

経験的に、3〜4ヶ月くらいになると、哺乳瓶を一時的に嫌がることが多いようです。

「飲ませなきゃ」と焦って、無理に口元に当てすぎると、余計に嫌がってしまい、逆効果になります。

哺乳瓶を嫌がっていても、お腹が空けば飲んでくれることがほとんどです。ですので、あまり深刻に考えすぎず、赤ちゃんのペースに任せましょう。

病院での経験から

生後3〜4ヶ月で入院する完全母乳栄養の赤ちゃんもいます。

お母さんは上の子供がいて、入院に付き添えないケースもあります。

このような時は、哺乳瓶を開始しますが、最初はもれなく赤ちゃんは嫌がります。

最初は嫌がっていても、お腹がすいてくると、哺乳瓶からもミルクを飲んでくれるようになり、退院時にはすっかり慣れていることが多いです。

まとめ

今回は粉ミルクにまつわる情報を説明してきました。

それぞれのご家庭に合ったやり方があるので、こだわりすぎず、柔軟に考えていくとよいでしょう。

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。