以前、発達障害について、こちらで簡単にまとめてきました。
脳には様々な機能があります。
その機能の一部が障害されてしまうと、様々な症状が現れることがあります。
例えば;
- 運動機能の障害:脳性麻痺
- 認知機能の障害:精神発達遅滞
- 社会性の障害:発達障害
- 大脳皮質の障害:てんかん
などが代表的でしょう。
発達障害の分類について
アメリカではDSM-V(Diagnosis and Statistical Manual of Mendal Disorders 5版)では、
- 知的発達症(精神遅滞)
- 自閉症スペクトラム症(ASD)
- 注意欠陥・多動性障害(ADHD)
- 言語症
- 社会的コミュニケーション症
- 特異的学習症(学習障害)
のように分類されています。
1. 知的発達症(精神遅滞)について
全体的な知的機能は、標準化された知能検査を用いて行います。
この知能検査の結果(IQ値で判定)が、平均より大きく下回ることを知的発達症といいます。
日常生活への適応行動が、年齢相当の基準よりも明らかに低いことから判断できます。
2. 自閉症スペクトラム症(ASD)
自閉症スペクトラム症は英語で「Autism Spectrum Disorder」で、ASDと略されることがあります・
ASDでは、社会性やコミュニケーションの問題が生じやすいです。
例えば、社会性や相互関係の問題として、
- 相手の気持ちを考えることができない
- 人見知りが強すぎる
といった点があげられます。
コミュニケーションの問題としては、
- 言葉の発達の遅れ
- おうむ返し
- 独自の単語を使う
といった特徴があります。
また、非常にこだわりが強く、同じことを繰り返す行動パターンも特徴的です。興味の対象がきわめて限局されているのです。
このような症状が3〜4歳くらいまでにみられることが多いです。
自閉症スペクトラム症(ASD)の原因ははっきりとは分かっていませんが;
- 遺伝
- 環境
- 免疫性?(アレルギーや自己免疫)
など、様々な仮説がいわれています。
自閉症スペクトラム症(ASD)に合併する症状として;
- 感覚過敏
- 不器用
- 多動
- パニック
- アンバランスな知能
- 行間が読めない
- 記憶力が優れている
といった特徴を持っていることがあります。
3. 注意欠陥多動性障害(ADHD)について
注意欠陥多動性障害(ADHD)では、
- 落ち着きがない
- 集中力が持続しない
- 気が散りやすい
- 忘れ物が多い
- 片付けられない
といった特徴があります。症状が病名に反映していますが、
- 不注意優勢型
- 多動性・衝動性優位型
- 混合型
の3つのタイプに大きくわけられます。
1. 不注意優勢型
不注意優勢型の場合;
- 気が散りやすい、集中力が持続しない
- 忘れ物が多い
- 不器用
- 片付けができない
といった症状があります。
2. 多動性・衝動性優位型
多動性・衝動性優位型の場合、
- 授業中に椅子に座っていられず、立ち歩く
- 落ち着いていられない
- 乱暴な子といわれる
- 些細なことで手を出したり、大声を出す
といった症状があります。
4. 学習障害について
学習障害では、基本的には全般的な知的発達には遅れはないのですが、
- 話す
- 聞く
- 読む
- 計算する
- 書く
といった能力のうち、特定のものの習得が非常に困難である状態をいいます。
こちらで詳しく説明しています↓
発達障害の治療について
衝動性を抑えたり(メチルフェニデートやアトモキセチン)、二次的な不安感や不眠を軽快するために薬を使用することはあります。
その反面、発達の遅れがある場合、なにか薬を飲んで遅れが取り戻せるわけではありません。
主に療育などでトレーニングを行なっています。トレーニングの目標は、
- 日常・社会生活を、できるだけ困難なく送れること
になります。
まとめ
今回は、発達の遅れの分類と特徴に説明をしてきました。
それぞれの発達障害には特徴があるため、ある程度は理解しておくとよいかもしれません。
もちろん、複数の病態がオーバーラップしていることもありますので、白黒はっきりできないケースも多々あります。
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