小児科

こどもの胃腸炎や風邪の家庭内感染予防に役立つ物品リスト【解説】

こどもの胃腸炎や風邪の家庭内感染予防に役立つ物品や使い方を知りたい保護者の方々へ

 「風邪で咳や鼻水がある」、「胃腸炎で吐いてしまった、下痢をしている」など、こどもたちはよく感染症をもらってきます。
一方で、兄弟姉妹や保護者などへの感染予防については外来でよく質問されるので、家庭内でもできる感染対策を詳しく知りたい方も多いでしょう。

 あと、ご家庭で用意をしておけば役に立ちそうな物品があれば、ついでに知りたい方もいると思います。

そこで、本記事では下記の内容を解説します。

本記事の内容:家庭内での感染予防

  1. 手洗いで必要な物品
    1-1. 石鹸やハンドソープ
    1-2. アルコールによる手指消毒
    1-3. ペーパータオル
  1. 下痢や嘔吐物の処理に役立つ物品
    2-1. 下痢や吐物の消毒は次亜塩素酸ナトリウム
    2-2. 使い捨てのガウン、マスク、エプロン
    2-3. ビニール袋

病院内でも医療者-患者での感染予防に気をつけています。小児科外来でも日々診療していると急に吐いてしまい、吐物後の処理が必要なケースは多々あります。

病院や診療所で一般的に行われている感染対策を踏まえつつ、解説していこうと思います。

手洗いで必要な物品(家庭内感染予防)

まず結論からいうと、次の3点があると便利でしょう:

  • 石鹸やハンドソープ
  • アルコールによる手指消毒
  • ペーパータオル

手洗いは手指に付着した細菌やウイルスを減らすのに最も有効な方法です。

外出後はもちろん、調理前、食事前、トイレ後、吐物やおむつの処理後も手洗いをするとよいでしょう。

石鹸やハンドソープについて

石鹸やハンドソープによる手洗いは、手についたウイルスや細菌を減らすのに役立ちます。

実は石鹸やハンドソープ自体にウイルスを弱める作用はありませんが、手についた汚れや脂を落とし、手指からウイルスや細菌を落としやすくできます。

石鹸やハンドソープの種類に特にこだわりは必要なく、市販製品でよく販売されているもので十分と考えています。石鹸やハンドソープの種類より、十分な時間をかけて(理想的には1分)手洗いをすることのほうが重要です。

消毒用のアルコールについて

手指消毒用のアルコールも有用です。手洗いの後に乾燥させ、仕上げとしてアルコールを使用してもよいでしょう。

アルコールにもウイルスや細菌を殺菌する力があるため、手指の衛生を保つのに有効です。

特に外出先などで手洗いができない場合、手指のアルコール用品で代用すると良いでしょう。

注意点として、一部の病原体には消毒用のアルコールが効かないことがあります。

特にノロウイルスなど一部のウイルスには効きづらいので、手洗いも合わせて行えるほうが理想的です。

ペーパータオルについて

家庭内ですとタオルで手を拭くことが多いですが、実はタオルを介して感染してしまうことがあります。

これは、手洗い後に微量に手に残っていた細菌やウイルスがタオルに付着し、他の人も同じタオルを使用すると、タオルを介して手に付着して感染してしまうことがあるからです。

タオルを介した感染を防ぐには、手を拭く時にペーパータオルを使用すると良いでしょう。

現に、病院や診療所ではペーパータオルが常備されており、手洗い後はかならずこれを使用して手を拭いています。

家族内で風邪や胃腸炎、インフルエンザなど感染者が出てしまった時だけでもよいので、家庭内感染予防としてペーパータオルを取り入れてもよいと思います。

 

下痢や嘔吐物の処理に役立つ物品(感染予防)

下痢や嘔吐物の処理には、次の3点を意識して準備をしておくと良いでしょう:

  • 次亜塩素酸ナトリウムの消毒液
  • 手袋・ガウン・マスク
  • ビニール袋

ポイントとして、下痢や吐物にいる細菌やウイルスを殺菌し、手や体の皮膚への感染を予防し、病原体を閉じ込めるのを意識すると良いでしょう。

次亜塩素酸ナトリウムについて

下痢や嘔吐物の処理には「次亜塩素酸ナトリウム(最低でも濃度200 pm)」が使用されています。

「アルコールではダメですか?」と質問されることもありますが、アルコールでも悪くはないのですが、一部の胃腸炎の原因となる病原体にはアルコールが効かないため、次亜塩素酸を使用することが多いです。

次亜塩素酸ナトリウムの消毒液は市販でも販売されています。

ご家庭で次亜塩素酸ナトリウムの消毒液を作る

市販されている家庭用の塩素系漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム含む)を消毒液として代用できます。

製品によって濃度が異なりますが、次亜塩素酸ナトリウム濃度が6%程度のものが多いです。

濃度別での消毒液の作り方は、

  • 次亜塩素酸ナトリウム濃度が1%なら、製品の液60mlを水3Lで薄める
  • 次亜塩素酸ナトリウム濃度が6%なら、製品の液10mlを水3Lで薄める
  • 次亜塩素酸ナトリウム濃度が12%なら、製品の液5mlを水3Lで薄める

と塩素濃度が200 ppmほどになります。

 

消毒液をペーパータオルに浸して使用してもよいですし、霧吹きなどに入れて使用されてもよいでしょう。

手袋・ガウン・マスク

使い捨てのビニール手袋、ガウン、マスクなどがあると、さらに感染対策になります。

吐物や下痢などには病原体が大量にいることがあるので、手・口からの侵入や、衣類への付着を防ぐためです。

手袋・ガウン・マスクを着用して、汚物中のウイルスが飛び散らないように静かにペーパータオルで拭きとる、その後に次亜塩素酸ナトリウムで浸すように拭きとると良いでしょう。

ビニール袋

汚物はビニール袋に密閉して廃棄するとよいでしょう。

ビニール袋に内に次亜塩素酸ナトリウムの消毒液を注いでおくのもよいと思います。

 

まとめ

今回は胃腸炎や風邪の家庭内感染予防に役立つ物品を解説付きで紹介してきました。ポイントとして、

  • 手指消毒:石鹸・ハンドソープ、ペーパータオル
  • 汚物処理:次亜塩素酸ナトリウム
  • 感染予防:ガウン、手袋、マスク、ビニール袋

が揃っていると万全の体制といえます。

お子さんが感染症をもらってきてしまうことは多々あります。

さらに家庭内で感染が伝播してしまうと、兄弟姉妹や保護者まで発症し悲惨な自体になってしまいます。

もちろん家庭内感染を100%予防できるわけではありませんが、危険性を減らすことはできますので、前向きに考えて、準備しておくと良いでしょう。

あわせて読みたい

www.dr-kid.net

 

Reference

・CURRENT Diagnosis and Treatment Pediatrics, Twenty-Fourth Edition
・Nelson Textbook of Pediatrics, 2-Volume Set
・Nelson Essentials of Pediatrics, 8e
・Medical Note presents
・小児科学, 10e
・小児の薬の選び方・使い方
・HAPPY!こどものみかた
・子どもの風邪
・小児科診療ガイドライン
・今日の治療薬

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。