小児の肥満について、これまでに様々な記事を書いてきました。
こどもの肥満は将来の糖尿病や心疾患のリスクになりえるので、早い時期からの対応が望ましいのですが、なかなか一筋縄にはいきません。
また、「小児はどこから肥満というか?」という基準は曖昧ですが、肥満の定義について簡単にまとめました。
日本は「肥満度」という独自の方法を用いて、肥満を定義しています。このため、世界のスタンダードとは大きく異なる基準になってしまっています。
さて、大人で肥満と聞くと「メタボ(メタボリックシンドローム)」を連想する方が多いかもしれません。
実は、小児でもメタボリックシンドロームという概念は存在します。
冒頭には小児肥満と生活習慣病について記載しています。
ここまで、小児肥満の定義や、肥満に伴う合併症について簡単に説明をしてきました。
今回は、実際に小児肥満がどの程度いるのか、という頻度について、解説していきます。
小児肥満の頻度について
小児肥満の頻度についてですが、2016年度の調査によると
- 6歳:4.3%
- 8歳:7.2%
- 10歳:9.0%
- 12歳:9.5%
- 15歳:9.7%
となっています。
世界的なトレンドですが、先進国では肥満児の割合が増えています。
日本も例外ではなく、1977年〜2000年で比較すると
- 男児の肥満:2倍
- 女児の肥満:1.5倍
に増加したといわれています。
2000年以降のトレンド
2000年以降のトレンドですが、大まかにいうと
- 2000年〜2005年までは横ばい
- 2006年以降は緩やかな減少傾向
となっています。
データからみた肥満になりやすい時期
小児が肥満になりやすい時期があり
- 男女とも小学校(特に高学年)
- 男子は15〜18歳も
といわれています。
この傾向は、実は昔からずっと続いています。
運動量の変化、受験、ストレスなど、様々な原因が言われていますが、詳細なメカニズムははっきりとは分かっていません。
世界と比べた日本の小児肥満
小児肥満は世界的に増加しています。
理由は様々ですが、経済的に安定した国々は、飢餓や不衛生を避けられるようになりますが、次は肥満・糖尿病をはじめとした慢性疾患に悩まされます。
小児肥満の問題もかなり深刻で、健康への悪影響がかなり懸念されています。
世界の小児肥満人口について
WHOがだした統計によると、
- 小児の過体重・肥満児は全世界で4200万人(2013年)
と推定されています。
さらに、
- 2025年には7000万人に達するだろう
と見込みを発表しています。
アメリカの小児肥満について
アメリカは別名「肥満大国」と揶揄されていますが、小児肥満の問題は群を抜いて深刻です。
CDCの報告によると、
- 1970年:15%
- 2000年:30%
- 2010年:35%
と増加しつづけ、ようやくプラトーに達したと言われています。
まとめ
小児肥満は世界的な悩みの1つです。
あえて日本の良い点を述べるとすれば、すでに10年前から緩やかな減少トレンドになっていることでしょう。
- 日本型食生活
- 学校給食
- 部活動や体育
- 小児肥満の問題の啓発
など、様々な要因で小児肥満の増加が食い止められていると考えられています。
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