- こどもが糖尿病になるんですか?
- 小児の糖尿病が増えているって本当ですか?
- 小児の糖尿病と肥満は関係してますか?
など、様々な疑問があると思います。
糖尿病は大まかにわけて1型と2型があり、これは小児でも一緒です。
今回は2型糖尿病に焦点をあてて解説してきます。
2型糖尿病の疫学
近年、小児期に発症する2型糖尿病(こどもの糖尿病)は世界のあちこちで増加しています。
つまり、日本やアメリカだけの問題ではなく、様々な国で、多様な民族で増加している世界的な問題です。
小児の糖尿病の患者数について
小児の糖尿病の患者ですが、
- 5000-6500人の糖尿病患者が、毎年新しく登録される
といわれています。
このうち、2型糖尿病の患者は、およそ20%くらい(約1000〜1200人)といわれています。
こどもの糖尿病の増加率
小児の糖尿病の増加率ですが、
- 1970年代〜1990年代の20年間で3倍ほど上昇した
と報告されています。(東京都の学校検尿)
2000年以降は急激な増加はありませんが、肥満とともに問題視をされています。
特にこどもの2型糖尿病のリスクが高いのは、高度な小児肥満です。
糖尿病の症状がなくても、実際に検査(OGTT)をすると、5%程度で2型糖尿病が発見されることがあるようです。
こどもの2型糖尿病の症状
無症状のことも多い
- こどもの糖尿病の症状ってありますか?
- どんなことに注意したらよいですか?
といった点が気になるでしょう。
しかし、小児の場合、無症状のことが多く、学校の検診で尿糖が異常値で、病院に受診した結果、診断されることが多いです。
逆にいうと、学校検診で指摘されたら、きちんと医療機関に受診して精査をすることが重要といえます。
典型的な症状について
2型糖尿病は検診で発見されることが多いですが、症状があって受診する場合、
- 多飲(水分をたくさん飲む)
- 多尿(おしっこが近い)
- 糖尿病ケトアシドーシス(重篤な症状:呼吸が早く、脱水状態)
になります。
小児肥満と2型糖尿病について
小児肥満と2型糖尿病には密接な関連があります。
小児期に発症した2型糖尿病の約8割は、小児肥満を認めていたとする報告があります。
インスリン抵抗性と肥満
普段、私たちの体はインスリンというホルモンが分泌して、血糖値が上昇しすぎないようにコントロールされています。
肥満によって、膵臓から分泌されるインスリンの効果が弱くなってしまいます。
膵臓から分泌できるインスリンの量には限りがありますから、限度を超えてしまうと血糖値が上昇してしまうのです。
こどもの2型糖尿病の診断について
小児では、
- 空腹時血糖(FPG)
- 経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)
- 随時血糖
- HbA1c (ヘモグロビンA1c)
によって判定されます。判定は;
- 正常型
- 境界型
- 糖尿病型
となっています。
正常型について
上にあげた検査で正常とされるには
- 空腹時血糖 < 110 mg/dL
- 経口ブドウ糖2時間値 < 140 mg/dL
の両方を満たすものをいいます。
糖尿病型について
糖尿病型では;
- 空腹時血糖 > 126 mg/dL
- 経口ブドウ糖2時間値 > 200 mg/dL
のいずれかを満たすものとなります。
境界型について
境界型は、いわばグレーゾーンでして、上に書いた基準のどちらにも当てはまらない人のことをいいます。
こどもの2型糖尿病の治療
小児の2型糖尿病の治療ですが、大まかにわけて
- 生活習慣の改善
- 薬物治療
になります。
生活習慣の改善について
治療の基本は、食事や運動療法が中心です。
血糖値が上がりすぎないように食事内容を指導したり、運動をすることでカロリーを消費させ、基礎代謝をあげます。
特に、小児の肥満を合併している場合は、肥満の改善が必要となります。
薬物治療について
小児の2型糖尿病の場合、特にインスリン抵抗性(肥満など)が主体の場合は、メトホルミンの内服薬を使用することがあります。
メトホルミンは、インスリン抵抗性を改善させる力があるからです。
内服薬や生活習慣を改善しても、血糖値のコントロールが困難な場合にインスリン注射を使用します。
まとめ
今回はこどもの2型糖尿病について解説してきました。特に気をつけたほうがよいのは、
- 学校の検尿で尿糖が指摘された
- 肥満がある
お子さんです。無症状であることも多いですが、学校の検診などで指摘されたら、お近くの小児科で精査を受けると良いでしょう。
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