- 『こどもの機嫌が悪いのですが、自宅でみていてよいのでしょうか?』
- 『機嫌が悪い時、なにをみたらよいでしょう?』
- 『どこかに電話などで相談したほうがよいですか?』
- 『病院やクリニックにいってもよいですか?』
子供の機嫌が悪い時、理性的に我慢できないので、保護者としてもかなり焦ってしまうことでしょう。
ほとんどのケースで、時間とともに自然に落ち着いてしますが、原因が分からないことが多いです。
しかし、時に緊急性の高い疾患、急に悪化する病気が隠れていることもありえます。
今回は、「こどもの機嫌不良」について解説していければと思います。
泣き方・意欲・意識と重症さ
こどもの機嫌が悪い時、多くは以下の順で重症になっていきます;
- 激しく、大きな声をあげて泣く
- 食欲や水分摂取、遊ぶ意欲がなくなる
- 泣き声が徐々に弱々しくなる
- 意識が悪くなる(反応が鈍くなる)
- 呼びかけに応じなくなる
お早めに受診したほうがよい例
上の5つでいえば、「泣き声が弱々しく感じる」「呼びかけに応じない・意識がおかしい」などに該当する時は、お早めに受診されたほうがよいと考えています。
消耗して泣き声が弱々しくなったり、呼びかけに応じないほど意識が悪いのは、よほどのことがないとこれらは起こらないですし、重症な疾患が隠れている可能性が高いからです。
激しく機嫌が悪い時にどうすべきか
「泣き声が弱々しい」「意識が悪い」はその時点で受診したほうがよいのは明らかですが、その一方で「大きな声で泣き、機嫌も悪い」ときは迷ってしまうと思います。
基本的には大きな心配はいらないことが多く、
- 痛い
- 痒い
- 寂しい
- 温度、食べ物が嫌だった
- 家族に怒られて嫌だった
など、何かしらの不愉快や不快の場合です。
こどもをよく観察して、あやしてみるとよいでしょう。
あかちゃんであれば、母乳やミルクをあげて落ち着くかどうかみてみましょう。
「なにかおかしい」と感じた時
いつものようにあやしても、不機嫌が続くなど、「あれ、なにかおかしい」と感じることもあるかもしれません。いわゆる保護者の勘です。
ひとつ言えることは、「なにかおかしい」と感じた時は受診されてください。
以前、こちらの記事を紹介しましたが、小児科医の「なにかおかしい」という感覚はこどもの重症化を予測するものでした。この小児科医が「なにかおかしい」と感じるのは、
- 小児科医がこどもを診察をして「なにかおかしい」と感じた
- 親御さんの「なにかおかしい」という訴えを真摯に受けとった
の双方が絡んでいると思います。
私個人としても、過去に
- 「なにかいつもと違うと思い受診しました」
という保護者の訴えで、重症な疾患を見逃さずに済んだ経験が多数あります。
自宅でできるこどもの診かた
こどもを診る際に注意しているのは、
- 泣き方、機嫌の悪さ
- おむつの中
- 全身の確認
です。
泣き方や機嫌についてはすでに詳しく説明したので、残り2つについて解説していきます。
おむつの中をみてみる
原因がおむつの中にあるケースとして、
- 便秘症
- おむつ皮膚炎
- 胃腸炎
- 鼠径ヘルニアや腸重積
などがありえます。
乳幼児の場合、2−3日便が出ないだけで腹痛や不快感をきたすことがあります。
便秘の基準は以下の詳しく書いています。
胃腸炎があったり、おむつで蒸れてしまうと皮膚炎を起こすこともあります。
こちらにおむつ皮膚炎の対処法を詳しく書いています。
また、頻度は多くはありませんが、鼠径ヘルニアや腸重積が隠れているケースもあります。鼠径ヘルニアは股に膨らみがでるので、見た目で分かります。
腸重積など腸の疾患の場合、血便が出てくることがあります。
血便がでてきたら、一度は小児科に受診されたほうがよいと考えています。
全身をみてみる
お腹の次は全身をみてみましょう。まずは、
- 食べる、飲む
- 寝る
- 遊ぶ
といった基本的なことができているかみてみましょう。このなかで、1つでも欠けているようなら、小児科に受診する目安となります。
その他の目安として、
- 顔色:真っ赤、真っ青、真っ白
- 目や手の動き:けいれん(ひきつけ)がないか
- 発熱
- 呼吸の音:変な咳、ゼーゼー、苦しそうか
などをみてみましょう。
小児科医が気をつけている不機嫌の原因
不機嫌の原因も様々ですので、小児科では全身をくまなく診察しながら原因を探ります。
- 重症感染症:髄膜炎、骨髄炎、関節炎
- お腹や股:腸重積や鼠径ヘルニア、精巣捻転
- 心臓:心不全や不整脈、川崎病
- 気道:気道異物、肺炎・気管支炎
- 骨折
- 薬の副作用
など、様々な疾患を念頭に診察する必要であります。
3ヶ月未満の発熱
3ヶ月未満の発熱の場合は、すぐに大きな病院へ受診してくださいね。この時期は感染症に非常に弱く、重症化してしまうことがあるため受診が必要です。
まとめ
今回は「こどもの機嫌が悪い」時の注意すべきサインや受診の目安などを説明してきました。
「受診の基準」というと厳格に思われるかもしれませんが、あくまでの目安です。
保護者の方々が「なにか変」「おかしい」と思ったら、受診する理由に十分なりますので、ためらわず受診されてよいでしょう。
・CURRENT Diagnosis and Treatment Pediatrics, Twenty-Fourth Edition
・Nelson Textbook of Pediatrics, 2-Volume Set
・Nelson Essentials of Pediatrics, 8e
・Medical Note presents
・小児科学, 10e
・小児の薬の選び方・使い方
・HAPPY!こどものみかた
・子どもの風邪
・小児科診療ガイドライン
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