急性中耳炎のポイント
- 鼻や喉にいるウイルス/細菌が中耳に入ると中耳炎になります
- こどもの耳管は短く、中耳炎になりやすいです
- 軽症の中耳炎は痛み止め、・中等症以上は抗生剤を使用します
- 鼻かみ、鼻吸引、鼻洗浄で中耳炎を予防できるかもしれません
どうして中耳炎になりますか?
急性中耳炎とは、耳の中にある “中耳” という空間の感染症です。
“耳管“という管で中耳と鼻・喉はつながっています。
風邪をひくと、鼻水が増えますが、ここにはウイルスや細菌がいっぱいいます。
この鼻水が耳管を通って、中耳に侵入してしまった場合、急性中耳炎となります。
大人と比較して、こどもの耳管は短く角度がないため、鼻水が中耳に入りやすく、中耳炎になりやすいといえます。
実際、6割前後の子供は、生涯に1度は中耳炎にかかります。
私も5歳の時に風邪と一緒に中耳炎になり、母に耳鼻科に連れて行ってもらった記憶があります。
急性中耳炎の症状
急性中耳炎の症状は
- 耳の痛み
- 耳垂れ(耳漏)
- 耳が詰まった感じ
- 発熱
が特徴的です。
4〜5歳になると「耳が痛い」と教えてくれますが、乳幼児は言葉で表現できないので、機嫌がわるい、よく耳をよく触るなどの症状がヒントになります。
急性中耳炎には重症度がある
急性中耳炎スコアリングシステムを使用しています:
臨床所見と鼓膜所見のスコアの合計点で重症度を分類しています:
- 軽症 5点以下
- 中等症 6〜11点
- 重症 12点以上
重症度を決め、重症度に応じて治療方針を決めます。
急性中耳炎の治療
重症度によって治療法は異なります。軽症から順にみていきましょう。
軽症の急性中耳炎の治療法
軽症の場合、痛み止めのみで数日は様子をみます。
中耳にも自浄作用があり、風邪がよくなると、自然と中耳炎が軽快することも期待できるからです。
痛み止めしか使用しない場合、必ず数日後に外来で悪化していないか診察してもらったほうが良いでしょう。
中等症・重症の治療法
中等症以上は抗生物質が必要となってきます。
実は、急性中耳炎は抗生物質を使用しなくても、半数くらいは自然に治癒します。
しかし、抗生物質を使用したほうが早く治るために使用しています。
抗生物質は、中耳炎の原因菌を狙って処方する
急性中耳炎の起因菌として多いのは
- 肺炎球菌
- インフルエンザ桿菌
- モラキセラ菌
が代表的です。
これらの原因菌を狙って抗生剤を処方します。
スタンダードな抗生物質は、高用量のペニシリンです。
薬の成分名でいうと、アモキシシリン(ワイドシリン、パエセトシン、サワシリン)を使用します。
抗生物質の適応を教えてください
抗生物質を使用したほうがいいのは;
- 重症度スコアで中等症以上
- 急性中耳炎が両側にある
- 2歳未満
は症状が長引いたり、合併症を起こすことがあるので、積極的に抗生物質を使用します。
逆に、抗生物質を使用せず、痛み止めのみで自然軽快が期待できるのは;
- 2歳以上
- 重症度スコアが軽症
- 片側のみに軽い中耳炎がある
場合でしょう。
急性中耳炎は小児科?それとも耳鼻科?
急性中耳炎は小児科でも基本的に診療できます。
鼓膜切開など、耳鼻科的な処置が必要な場合に耳鼻科へ紹介しています。
耳鼻科へ紹介するタイミングは;
- 治療を開始して1週間するが改善しない
- 急性中耳炎が反復する
- 2歳未満で難治性
- 広域な抗生剤を使用しても改善しない
に紹介しています。
大体ですが、初診から3〜7日以内に耳鼻科への紹介を判断しています。
風邪を引いた時の中耳炎の予防法
急性中耳炎は、鼻にある分泌物が中耳で溜まるため起こります。
ですので、鼻の中をマメに綺麗にすることで、中耳炎の予防になると考えています。
例えば;
- 鼻の吸引
- 鼻をかみ
- 生理食塩水などで鼻を洗浄する
をして、鼻の分泌物を綺麗にすること中耳炎の予防になります。
1日1回だけ小児科や耳鼻科に受診して処置をしてもらうより、自宅でも加湿をして、鼻をよくかみ、出来る方は鼻の吸引や鼻洗いをマメにすると良いでしょう。
◎ 鼻水吸引器
◎ 鼻洗浄水
鼓膜切開・鼓膜チューブの適応について
鼓膜切開や鼓膜チューブの適応は:
・中耳炎を繰り返す:6ヶ月に3回以上、1年に4回以上
・中耳の液体貯留が3〜6ヶ月持続し、聴力低下を伴う
になります。
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