生活習慣病とメタボリック症候群について
「生活習慣病」とは、その名の通り、「生活習慣」が原因として生じる病気です。
大人ですと、肥満によって 糖尿病、脂質異常症、高血圧、高尿酸血症 を引き起こします。
これらをまとめて「メタボリック症候群」と呼びます。
通称「メタボ」と言われてますね。
こどものメタボは要注意です
実は「メタボ」は子どもでも問題視されています。
15%くらいの中学生男子はメタボリックシンドロームの危険性があるといわれています。
今回は、子どもの肥満と生活習慣病の関係について説明します。
メタボが危険な理由
肥満によって糖尿病・高血圧などメタボリック症候群になると、最終的に動脈硬化となります。
動脈硬化は血管が硬くなることをいいます。
動脈硬化を起こすと、最終的に心筋梗塞や脳血管疾患(脳梗塞など)となります。
このため、メタボは危険、と言われています。
小児の肥満も動脈硬化に進展します
肥満になると、まずは内蔵脂肪が増加し、内蔵肥満となります。
内蔵肥満が続くと、動脈硬化へと進行します。
子供の肥満でも、首の動脈硬化を認めるという報告もあります。
このため、小児肥満は成人と同様にメタボリックシンドロームとして注意が必要です。
日本でも近年は肥満の子どもが増加しています。
そして、2型糖尿病を発症する子どもが、過去20年で3〜4倍に増えています。
小学生・中学生で肥満は増加している
少し古いデータですが、上の図は、昭和63年、平成5年、平成17年の肥満の割合の調査結果です。
この図から分かることは、日本では肥満とやせが増加しており、普通と判断されるこどもの割合が減っているのが特徴です。
小学校中学年・高学年に肥満になりやすい
こちらの図は、いつごろ肥満となったかを示したものです。
この図によると、男女とも小学校3年〜小学校6年の間で肥満の割合が増えており、その後は低下しています。
小学校入学前までは普通の体型の子も、就学とともに肥満になってしまうことがあります。
肥満が増加している原因
こどもの肥満が増加している原因は:
- 食生活の変化
- 運動量の減少
- ストレスの増加
の3点です。
1. 食生活の変化
食生活の変化では、総摂取カロリーはあまり変化していないです。
しかし、脂質の摂取量は増加しています。 小学生・中学生がコンビニやファストフード店で、脂質の多い食事を食べる機会が増えたためでしょう。
2. 運動量の減少
こどもの運動時間・運動会数も減っています。
屋外で遊び、体を動かす機会は減少しています。
以前に比べて、公園や広場で遊んでいる子どもの数はかなり減り、一日のエネルギー消費が低下しています。
最後に、ストレスの増加があげられます。
3. ストレスの増加
現在は、長引く不況のため、受験を含め極端な競争社会となっています。
これらは現代社会の仕組みによるストレスといえます。
また、子どもがストレスを上手く対処する技術が身に付かず、過食や拒食といった異常な食行動へと進んでいるのかもしれません。
小児肥満がもたらす体への影響
小児肥満は;
- 高血圧
- 脂質異常症、脂肪肝、糖尿病
- 心肺機能低下
- 睡眠時無呼吸
- 大腿骨頭すべり症
の原因になるといわれています。
また、心理的にも自己評価は低下し、情緒不安定や学校生活への適応障害の原因にもなります。
小児肥満は大人の肥満になる
成人肥満の30%は、思春期の時点で既に肥満であった、と報告されてます。
小児肥満から成人肥満へと以降しやすいのは;
- 4歳未満の肥満
- 14歳時点での肥満
といわれています。
このように、小児肥満は成人肥満に移行し、メタボリック・シンドロームの原因となります。
幼少期から早めに対策し、肥満予防および改善が重要です。