「川崎病」は日本が最も多く、治療の研究も盛んに行われ、注目度の高い疾患の1つです。
ここ10年くらいで、新しい治療法が次々と発表され、めまぐるしく変化しています。
長期的にフォローしている患者さんで中にはとても熱心な方もいて、最近の治療法について聞かれることが時々あります。
今回は、川崎病の治療が日本でどのように行われているか、傾向をまとめてみようと思います。
川崎病について詳しく知りたい方はこちら
川崎病の治療法は徐々に変化してきています
まず、川崎病の治療法ですが、基本は:
- 免疫グロブリン大量療法
- アスピリン
の2剤を使用することがほとんどです。
免疫グロブリンは早期に、しっかり投与する傾向
2010年頃までは、初回は1g/kgの施設と2g/kgの施設がありました。
標準治療は「2g/kg」のため、より多くの施設が2g/kgを採用し、しっかり投与する傾向になっています。
また、川崎病の治療の治療開始日も5日以内の割合が微増しており、より早期に治療する傾向が伺えます。
併用・追加療法について
免疫グロブリンとアスピリンに治療を上乗せ
2010年くらいまではこの2剤が標準治療だったのですが、最近はこの2剤にさらに薬を上乗せして初めから治療したり、1〜2回目の免疫グロブリンの反応性が悪い場合に追加治療を行なっています。
代表的なのが:
- ステロイド
- 免疫抑制剤(シクロスポリンA)
- インフリキシマブ
- 血漿交換療法
あたりです。施設によってはウリナスタチンを使用しているところもあるようです。
ステロイド初期併用療法について
2012年にKobayashi先生らがLancetにステロイド初期併用療法の有効性が発表されました。
初回からステロイドを使用して、炎症を早期に治療してしまおう、という戦略です。
2012年以降、徐々に使用例が増えています。
追加療法について
追加療法は、初回の治療に反応が悪く、熱が下がらない時などに使用します。
ステロイド、免疫抑制薬、血漿交換療法の使用率は横ばいですが、インフリキシマブの使用が微増しています。
最近、インフリキシマブの使用について、論文が出ています:
冠動脈病変の合併例は減少傾向にあります
川崎病の最大の合併症は冠動脈病変です。
冠動脈病変を合併すると、将来の心筋梗塞や致死的な不整脈のリスクになります。
様々な治療法が研究は、この合併症を減らすことが目的です。
冠動脈拡張の合併例はゆっくりと、確実に減ってきています。
川崎病の治療トレンドのまとめ
免疫グロブリンは、より早期に、しっかり投与する傾向にあります。
ステロイドなど併用療法や追加療法は徐々に増えてきています。
参考文献
自治医科大学が2年に1度、川崎病の全国調査を行なっています。
こちらの資料を参考にさせていただきました。
http://www.jichi.ac.jp/dph/kawasaki.html