熱性けいれんは5歳以下の小児に起こる良性のけいれん発作です。
「良性」というくらいなので、基本的には脳に後遺症や障害を残すことはありません。
そうはいっても、目の前でけいれんを起こされた場合『この子が死んでしまうかもしれないと思った』とおっしゃる方々も沢山いて、少なからず恐怖を感じています。
Dr.KID
お子さんが目の前でけいれんを起こしたら、かなりショックを受けるのは当然と思います。
今回は、熱性けいれん後に保護者が抱える不安や恐怖について行われた研究結果をみてみましょう。
原文はこちらのリンクから見られます。
研究の方法
- カルガリーの小児病院で
- 初回の熱性けいれんで受診した保護者
を対象に研究が行われています。
けいれん後、2週間してから電話で保護者の抱える不安などを聴取して、けいれんを起こす前後で、家庭での行動を調査しています。
研究の結果
まず、けいれんを目撃した保護者の方々の行動の変化ですが;
- こどもと一緒に寝るようになった
- 外出する機会が減った
- ベビー・シッターに子供を任せたくないと思っている
割合が増加しています。
また、心理的な面として;
- 入眠や中途覚醒するようになった
- 疲労感を感じる
- 夜に目を覚まして、こどもの様子を確認するようになった
- 恐怖やストレスを感じる
- こどもの脆さを感じている
などの割合が増えています。
特に不安や恐怖を感じる方は、低収入であったり、教育レベルの低い家庭に多かったようです。
研究の考察
小児科医として働いていると熱性けいれんは頻回に見ますので、ある意味慣れてしまい、恐怖感は薄れてしまいます。
しかし、保護者にとっては急に起こった一大事ですから、かなり心理的な負担が大きいのでしょう。
今回の研究では、熱性けいれんに対して、医療者の反応と、一般の方々の反応は明らかに異なることがわかりました。
この点は、小児科医として、より意識して患者さんと向き合わなければと思わせてくれる研究でした。
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