便秘は小児科外来の相談で最も多い悩みの一つです。
こどもが便秘になる理由は様々ですが、大まかに
- 腸の動きが低下している
- 便が硬くて出せない
- 便が大きくて痛みを伴う
が原因のことがほとんどです。
「こどもが便秘になるなんて、なにか体の調子が悪いのでしょうか?」とご相談されることもあります。
ですが、便秘は特に体に異常がなくても起こります。
便秘はほとんどのケースで;
- 食生活の改善
- 行動の改善
- 内服薬の開始
で軽快することが多いです。
保護者の方々は「薬を飲めば便秘はすぐに治る」と考えがちですが、便秘になってしまった原因は排便習慣の異常からくることが多いので、一朝一夕では軽快しないことが多いです。
ですので「治療は少し根気がいりますが、気長に頑張っていきましょう」と声かけをしています。
正常な排便習慣とは?
『正常な排便習慣ってなんですか?』と外来で質問されることが多々あります。こちらは非常に鋭い質問で、返答に窮してしまうこともあります。
大まかにいって、排便習慣は年齢や食生活により異なりますが、あえて一定の基準を設けるとすると;
- 生後1週間まで:一日あたり4回前後(柔らかい or 水様便)
- 生後3ヶ月まで:一日あたり3回前後
- 2歳まで:一日あたり1〜3回
- 4歳まで:一日あたり1〜2回
程度となります。
乳幼児であれば、一日一回は排便していて欲しいと考える小児科医が多いのではないでしょうか。
母乳のほうが排便回数は多い傾向にあります
乳児期の特徴として、母乳のほうが排便回数は多い経口になります。
乳成分のある人工乳だと、便が硬くなりやすく、アレルギー用のミルクのほうが便通がよいことがあります。
(とはいえ、便秘だからといって、アレルギー用のミルクに変更する必要はありません)
異常な排便習慣とは?
排便習慣について、正常と異常の境界線は極めて曖昧ですが;
- 固くて小さな便が出る
- 排便時に痛みのため泣いてしまう
- 二日以上便が出ない
- 排便時にいきんでしまう
といった症状があるときは便秘を疑います。
腸の動きを体がうまくコーディネートできていない状態といえるでしょう。
どこから異常と判断すべきか?
一定の決まりはありませんので、小児科医により回答は異なると思います。
あえてシンプルにお答えするとしたら;
- いつもより排便回数が少ない時
- 排便時に痛みや苦痛を伴う時
は異常といってもよいかもしれません。
例えば、毎日のように便が出ていたこどもが、急に二日に1回しか排便しなくなってしまったら、便秘であるかもしれません。
言葉で表現できない乳幼児の場合、どう判断するべきか?
『赤ちゃんなので、便秘で痛がっているのかもよく分かりません』とご相談されることもあります。
確かに乳幼児の場合、自分の痛みや苦痛をうまく言葉で表現できないため、彼らの行動から読み取ってあげる必要があります。
便が出にくい時に乳幼児がとる行動として多いのは、排便時に;
- 反り返って、お尻に力が入っている
- 手足が硬直している
- 足をクロスさせて、力が入っている
- 大人の目が届かない、部屋のすみなどで力をいれている
といった行動をとっていることがあります。
排便時にある痛みを恐れて、このような行動をとっているケースがあります。
まとめ
どこからが便秘かは、非常に境界線があいまいですが、大まかにいうと、年齢と排便回数と排便時の痛みを参考にして判断をしています。
乳幼児の場合、便秘の時に特徴的な行動をとることがあるので、そこから排便時の苦痛を読み取ってあげると良いでしょう。
次回は、便秘が起こってしまう理由について考えていこうと思います。
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