肝炎って何ですか?
肝炎とは、その名の通り『肝臓に炎症が起きている状態』をいいます。
肝臓は有害な物質を分解したり、栄養を貯蓄したり、胆汁という消化酵素を分泌したりと、様々な機能を担っています。
そこに炎症が起きてしまうと、肝臓の機能が著しく低下し、体の正常な働きが行えなくなります。
肝炎の原因を教えてください
肝炎の原因は様々ですが、大きく3つに分けられます;
- ウイルスへの感染
- ウイルス以外への感染
- 感染症以外
です。原因を一覧にすると、以下のようになります。
1. ウイルスへの感染
肝炎の原因として最も多いのはウイルス感染でしょう。
小児ですと、EBウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルスなどが原因として多いと考えられています。
2016年からB型肝炎は予防接種が開始されていますが、予防接種を受けていないとB型肝炎ウイルスにかかると肝炎を起こすことがあります。
日本では少ないですが、A型肝炎ウイルスは途上国などでも多く、ワクチンが導入されている国もあります。アメリカも近年は予防接種が導入されています。
2. ウイルス以外への感染
ウイルス以外ですと、細菌・寄生虫への感染で肝炎が起こることがあります。
上の表にあげたように、肺炎球菌・レプトスピラ・トキソプラズマなどが当てはまります。
レプロスピラは沖縄などを中心に報告されています。
3. 感染症以外が原因の肝炎
小児の場合、薬剤性肝炎が多いでしょう。
全ての薬に副作用はありますし、処方された薬を正しく使っていても、体との相性が悪かったり、他の薬との相互作用で肝炎を起こしてしまうことがあります。
肝炎ウイルスについて
B型肝炎やC型肝炎は聞いたことがあるかもしれませんが、A型〜E型まで5種類あります。
表にまとめると、以下のようになります。
ここのウイルスの解説は、今後、ブログで説明していきます。
特徴として、A型肝炎とB型肝炎にはワクチンがあります。
また、A型とE型は汚染した食事から感染してしまうことがあり、途上国など衛生面が悪いところで多いとされています。しかし、アメリカなどでもA型肝炎は発生しているため、決してあなどれません。
慢性化してしまうと、治療が長期間かかったり、治らない場合がありますので、予防が非常に大事といえます。
感染者数(アメリカのデータになりますが…)
アメリカでは、1年あたり
- 2万1000人がA型肝炎に
- 3万5000人がB型肝炎に
- 1万7000人がC型肝炎に
新規に感染しているといわれています。
ウイルス性肝炎にかかると、どのような症状がでますか?
ウイルス性肝炎に感染すると;
- 発熱
- 倦怠感(95%)、食欲低下(90%)
- 吐き気(80%)・嘔吐
- 腹痛(60%)
- 黄疸(皮膚が黄色くなる)
- 尿の色が濃くなる
- 便が灰色になる
- 関節が痛くなる (15%)
といった、様々な症状が起こります。
症状の経過
一般的な経過を図にすると、上の図のようになります。
ウイルスに感染しても、一定の期間は症状がでません。この期間を潜伏期間といいます。
初期は、発熱・関節痛・食欲低下などの症状がでて、しばらくしてから黄疸が出てくることが多いでしょう。
ウイルスの活動が落ち着くと回復期になります。
慢性化することがあります
回復期になっても、B型やC型肝炎ウイルスは「慢性化」といって、ウイルスが肝臓に住み着いてしまうことがあります。
この場合、長い年月をかけて肝臓ガンになったり、肝硬変の原因になったりします。
例えば、アメリカでは
- 120万人がB型肝炎ウイルスに
- 320万人がC型肝炎ウイルスに
感染し、慢性化してしまっています。
まとめ
肝炎の原因は、感染症と感染症以外(薬剤性など)に大きく分けられます。
肝炎ウイルスは5種類あり、感染が慢性化してしまうと、将来の肝硬変や肝臓ガンのリスクになります。
続きはこちら:A型肝炎について