- 赤ちゃんがビタミンKを飲む理由は何でしょうか?
- ビタミンKを新生児が飲まないとどうなりますか?
などの質問を受けることがあります。
ビタミンKは出生後にルーチンで飲ませることになっていますが、海外では筋肉注射で済ませるところもあるようです。
そこで、今回はビタミンKについて解説していこうと思います。
本記事の内容
- ビタミンKを飲ませないといけない理由
- ビタミンK内服のスケジュール
- ビタミンKの飲ませ方
なぜビタミンKを飲ませないといけないですか?
ビタミンKには血液を固める作用があります(このことを「凝固作用」といいます)。
赤ちゃんの腸はビタミンKの吸収が上手くできなかったり、母乳に含まれるビタミンKの量が少なかったりするため、ビタミンKの欠乏になりやすいといわれています。
ビタミンKが不足するとどうなりますか?
生後数日や1〜2ヶ月の間に、消化管・皮膚・頭蓋内にビタミンK不足による出血を認める赤ちゃんが報告されています。
大まかにですが、ビタミンKを接種しないと
- 生後1週間:消化管や臍帯からの出血(0.25〜1.7%)
- 生後2週〜:頭蓋内の出血(10.5〜80人/ 10万出生)
の危険性が高まります。()内はビタミンKを飲まないことによる、出血の発生率です。
特に頭蓋内出血は後遺症を残しやすいため、予防的にビタミンKを飲ませることが、非常に重要と考えています。
ビタミンK投与のスケジュールについて
従来はビタミンKの投与は、元気なあかちゃんであれば3回投与でした
- 生後しばらくして
- 退院の前
- 1ヶ月健診
の3回です。
スケジュールは見直されています
しかし、1ヶ月健診後に重大な出血を認めた報告もあり、見直されています。
このため
- 出生後3ヶ月までは、1週間に1回の予防投与
を行なっている施設もあります。
人工乳(ミルク)にもビタミンKが含まれているため、完全母乳栄養でない場合は(ミルクが哺乳量の半分以上が目安)、ビタミンK予防投与を1ヶ月健診終了以降にやめる選択肢もあります。(担当の先生にご相談してみてください)
ビタミンKを飲ませる
どのように飲ませたらよいですか?
ケイツーシロップというシロップ状になった薬が処方されると思います。
袋から直接飲ませるのは難しいので、スプーンや哺乳瓶の乳首を使って飲ませてあげる方が多いです。
飲み忘れてしまった場合
1週間に1回ですと、飲み忘れてしまう場合があります。
飲み忘れてしまった場合は、気づいた時に、できるだけ早くのませましょう。
間違っても2回分を一度に飲ませることはしないでください。
次回以降の投与スケジュールはかかりつけの先生にご相談しましょう。
上手く飲ませられなかった時…
薬を口から出してしまったり、飲み残したり、こぼれてしまうことがあります。
目安としては、半分以上飲めている場合はそのままで良いと考えています。
一方で、明らかに半分も飲めていない場合には、次回の分を飲ませるか、担当の先生にご相談してください。
まとめ
ビタミンKは、赤ちゃんの重大な出血を予防するためにとても重要なビタミンです。
決められたスケジュールで確実に飲ませましょう。