前回はB型肝炎ウイルスの一般的な特徴や、診断について説明してきました。
基本的なことをおさえるために、あえて小児科に関連した内容はさけて記載しています。
今回は、実際にB型肝炎ウイルスに感染した場合に起こる症状、慢性化のリスク、ワクチンについて解説していこうと思います。
小児特有の事情として、慢性化しやすい、母子感染、ワクチン接種を乳児から行うなど、成人と異なる部分があります。この点も言及しながら、説明していこうと思います。
B型肝炎の臨床的な特徴
ここからはB型肝炎の臨床的な特徴(症状など)について説明していこうと思います。
症状について
肝炎の一般的な症状はこちらにまとめてあります。
症状として、発熱・倦怠感・頭痛・筋肉痛などが多く、他の感染症との区別が難しいことが多いです。
感染しても症状が出ないことがあります
B型肝炎は、少なくとも50%程度は感染しても症状が出ないといわれています。
例えば、症状が出現する割合を年齢別にみると
- 12ヶ月未満:ほぼ 0%
- 1−4歳:約10%
- 5歳以上:約35%
が症状が出るといわれています。
B型肝炎の合併症について
B型肝炎の合併症として、
- 劇症型肝炎
- 肝硬変
- 肝臓ガン
- 死亡
があります。B型肝炎は自然に治ってしまうことがある反面、非常に重篤な合併症の原因になることがあります。
低月齢ほど慢性化しやすいです
新生児や乳児は症状が出づらく、さらに慢性化しやすい特徴があります。
この時期は母子感染が最も多いでしょう。
B型肝炎ウイルスの母子感染について
母親がB型肝炎で、HBs抗原とHBe抗原が陽性の場合、
- 70-90%の乳児が感染し
- 感染した乳児のうち90%が慢性化した
と報告されています。
また、母親のHBs抗原のみが陽性の場合
- 5〜20%の乳幼児が感染し
- 感染した乳児のうち90%が慢性化した
とされています。
B型肝炎の治療やワクチンについて
B型肝炎が慢性化した場合、
- 抗ウイルス薬
- インターフェロン
などを中心に治療をします。
母子感染を予防するために
母子感染を予防するために、
- 妊婦すべてにB型肝炎のスクリーニングをする
- 妊婦は陽性の場合、適切に治療をする
- 乳児の予防接種を行う
の3点があげられます。
B型肝炎ワクチンについて
B型肝炎ワクチンは、
- 95%以上の有効率があり
- 20年以上、免疫が持続する
といわれています。
確実に免疫をつけるために、B型肝炎ワクチンは3回接種する必要があります。
乳幼児は抗体(免疫)がつきづらいイメージがあるかもしれませんが、3回予防接種をすれば高い確率で抗体を獲得できます。
まとめ
新生児や乳幼児はB型肝炎ウイルスに感染しても症状が出づらく、さらに慢性化する可能性が非常に高いため、早めにワクチンを接種する必要があります。
ワクチンは3回接種することで、乳児でも確実に免疫を獲得できます。
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