これまでに肝炎の総論、A型肝炎、B型肝炎について解説してきました。
今回は小児のC型肝炎について解説していこうと思います。
C型肝炎ウイルスについて
C型肝炎はその名の通り「C型肝炎ウイルスに感染して生じる肝炎」です。
C型肝炎ウイルスの特徴
C型肝炎ウイルスはフラビウイルス(Flavivirus)という1本鎖RNAウイルスです。
肝臓の細胞、リンパ球、単球などに侵入し、ウイルスを急速に複製します(1日あたり1兆の複製も可能といわれています)。
突然変異を繰り返したり、免疫細胞(NK細胞・T細胞)を不活性化させたりして、体の免疫細胞からの攻撃を逃れようとします。
C型肝炎ウイルスの感染経路
血液を介して感染することが多く、慢性化しやすいのが特徴です。主な経路は
- 血液
- 粘膜
になりますが、小児の場合、C型肝炎に罹患した母からの母子感染が多いでしょう。
輸血でC型肝炎にかかりますか?
1990年代前半より以前の血液製剤や臓器移植では、C型肝炎ウイルスへの感染のリスクがありました。
現在はC型肝炎ウイルスなどを検出精度は上がっており、輸血や臓器移植で感染するリスクは非常に低くなっています。
日本ではどのくらい感染者がいますか?
小児での感染は非常に少ないですが、日本人全体でみると150〜200万人くらいが感染していると推定されています。
小児の感染は非常に少なく、65歳以上に偏った分布をしています。
アメリカでの流行
こちらがアメリカでのC型肝炎の推移になります。
1990年前後から急激に減っています。この急激な減少は、様々な理由があり、当時HIVが騒がれたこと、輸血や違法薬物使用を介した感染が減少したことなどがあげられます。
現在のアメリカでは、C型肝炎の感染経路は6割が違法薬物の静脈注射によるといわれています。
世界でのC型肝炎罹患率
こちらが世界でのC型肝炎の罹患率になります(2012年、CDC Yellow Bookより)。
北アフリカに多く、次いで南アフリカやアジア、東ヨーロッパとなっています。
北米・南米は私の予想より低い結果でした。
C型肝炎が慢性化すると、どうなりますか?
手短に経過を説明すると、上の図のようになります
- 感染が成立すると85%が慢性化し
- 慢性化した場合、20%が肝硬変になり
- 肝硬変になった場合、25%がガン・移植が必要・死亡する
となっています。
またC型肝炎ウイルスに感染して30年すると、1年あたり1〜3%ほどの患者が肝臓ガンになると考えられています。
まとめ
C型肝炎の疫学と経過について簡単に説明してきました。
次回はC型肝炎の治療や母子感染予防について解説していければと思います。
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