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女性の便秘の改善には、食事だけでなく運動も追加したほうが良い?[エジプト編]

便秘について相談した場合、「運動をしましょう」とアドバイスを受けたことがあるかもしれません。一方で、「運動は便秘を改善さえる」のは本当でしょうか?

運動が便秘の管理や予防に役立つという正確なメカニズムはまだ明らかにされていませんが、いくつかの基礎となるメカニズムが報告されています。

例えば、運動が大腸の運動性に影響を与え、腸管通過を促進しているかもしれません。
また、運動をすることで迷走神経を刺激したり、消化管への血流を減少させたりし、重要な消化管ホルモンの分泌を促しているのかもしれません。

あるいは、跳ねる、直立姿勢、重力、腹筋の収縮などの身体活動中の腸への機械的刺激となっているかもしれません。
この機械的刺激は、便が直腸に移動するのを助けます。
また、身体活動中のエネルギー支出の増加は、エネルギー摂取量に影響を与え、最終的に食物繊維の摂取量を増加しているのかもしれません。

今回は、肥満のある成人女性において、運動が便秘の改善に役立つのか研究した論文をご紹介しようと思います。

マミー
マミー
運動をすると便秘症が改善するというのは本当ですか?

ユーキ先生
ユーキ先生
最近公表された研究があったと思います。

Dr.KID
Dr.KID
成人のものになりますが…。一緒に見てみましょう。

ポイント

  •  エジプトで行われたランダム化比較試験
  •  肥満のある成人女性において、運動療法が便秘の改善に有効かどうか検証
  •  食事だけでなく、運動療法を取り入れた方が改善しやすい傾向にあった

   2017年に公表されたようです

女性の便秘の改善には、食事だけでなく運動も追加したほうが良い?[エジプト編]

研究の背景/目的

世界において、肥満は非常に一般的であり、致命的な合併症や死亡に関連しています。肥満は人体に多くの影響があります。

また、便秘は世界の様々な地域で4%から29%の有病率があり、男性では5%、女性では15%と推定されており、大きな健康問題と考えられています。

肥満と便秘との間には強い関連性があるかもしれません。

本研究では、成人の肥満女性において、身体活動と低カロリー食が便秘に与える影響を調査した。

研究の方法

本研究では、慢性的な便秘を有する125名の肥満女性(年齢20~40歳)を対象とした。

参加者は無作為に2つのグループに割り付けられた。A群には、身体活動、低カロリーの食事、および便秘のためのルーチンの標準的なケアの提案されたプロトコルを受けた62人の女性が含まれていたのに対し、B群には、便秘のための標準的な医療ケアと低カロリーの食事のみを受けた63人の女性が含まれていた。

介入の有無 A B
身体活動 あり なし
食事 あり あり
医療 あり あり

両群とも12週間プログラムに従った。ベースライン時と研究プログラム終了時の両方で、被験者の便秘症状の患者評価(PAC-SYM)と患者評価による生活の質(PAC-QOL)スコアの変化、および体格指数(BMI)の変化が記録された。

Dr.KID
Dr.KID
A郡とB郡では低カロリー食の治療を共にされているため、郡間比較でこの効果を推定することはできないでしょう。

研究の結果

両群の患者のベースライン特性には統計的に有意な差はなかった。

介入12週間後、両群は、B群で有意ではない差(p > 0.05)を示したBMIを除き、測定されたすべての変数において群内で有意な差(p < 0.05)を示した。

結論

身体活動と体重減少は、便秘のある中年の閉経前女性のPAC-SYMとPAC-QOLスコアを短期的(最長12週間)に改善する。

考察と感想

Abstractだけですと、理解は難しいですね。詳しく知りたい方は、フリーアクセスですので、リンク先を参照してみてください。

今回の研究ですが、対象となったのは20-40歳の肥満(BMI > 30)のある女性でした。

食事に関しては、

  • エネルギー摂取量:1,000~1,200kcal/日
  • 炭水化物50%~60%
  • たんぱく質20%
  • 総脂肪30%未満
  • 食物繊維18g/1,000kcal。

としていたようです。ですが、どちらのグループもこの食生活ですので、前後比較以外で効果を検証するのは困難です。

運動に関しては、グループAの女性のみに、12週間、週3回参加し、1回の運動時間は60分であったようです。

運動トレーニングプログラムは、レールを強く握らずにトレッドミルの上を歩くという形をとっていたが、この行為が運動のどの段階でも負荷を軽減するように思われたためである。この問題を解決するために、参加者には手をレールから離し、拳を閉じ、指一本だけをレールの上に置いてバランスをとるようにしてもらいました。

運動セッションは

  1. 10分間のウォームアップ
  2. 40分間:
    目標心拍数(THR)の20~40%になるように速度を調整(最初の6週間)
    目標心拍数(THR)の40~60%になるように速度を調整(次の6週間
  3. 10分間のリカバリー期間
  4.  終了

という60分のセッションだったようです。

便秘のアウトカムに関しては:

  1. Patient Assessment of Constipation – Symptom (PAC-SYM)
  2. Patient Assessment of Constipation Quality of Life (PAC-QOL)

の2つを主に使用したようです。

年齢は33歳前後、身長は171 cm、体重は81kgくらいだったようです。

Patient Assessment of Constipation – Symptom (PAC-SYM)

便秘の評価のスコアに関しては以下の通りでした(0〜4点で、点数が高いほど症状がひどい):

グループ A
N = 62
B
N = 63
1.98 ± 0.46 2.02 ± 0.51
1.31 ± 0.24 1.58 ± 0.44
-0.67 -0.44

Patient Assessment of Constipation Quality of Life (PAC-QOL)

便秘による生活の質のスコアに関しては以下の通りでした:

グループ A
N = 62
B
N = 63
2.12 ± 0.44 2.15 ± 0.19
1.38 ± 0.53 1.67 ± 0.36
-0.74 -0.48

この結果を見ると、両方のグループで便秘のスコアや生活の質のスコアは改善していますが、運動療法を取り入れたグループ(A)の方が、より改善しているのが分かります。

Dr.KID
Dr.KID
他のRCTやメタ解析もあるようですね。

まとめ

こちらは、エジプトの肥満のある女性において、便秘の改善には食事療法のみより、運動を取り入れた方が良さそうな印象のあるデータでした。

 

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Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。