副鼻腔炎のまとめ
- 副鼻腔炎は3〜6歳児に多く、風邪の5%〜13%に合併します
- 大人のように鼻づまり、頬の痛みがないことが多いです
- 約50%は抗生剤を使用しなくても、4週間以内に自然治癒します
副鼻腔について
副鼻腔は鼻の奥にある小さな空間です。
副鼻腔は全部で4つあり、前頭洞・上顎洞・篩骨洞・蝶形骨洞です。
副鼻腔は徐々に発達し大きくなります。
上顎洞(じょうがくどう)と篩骨洞(しこつどう)は出生時からあり、思春期まで徐々に発達します。
この上顎洞と篩骨洞が最も感染しやすいです。
前頭洞は7歳くらいから出来て、徐々に大きくなります。
蝶形骨洞は遅くとも 5歳くらいまでに発達しますが、感染しにくい場所です。
副鼻腔炎の症状
急性副鼻腔炎は風邪から進展することが多いです。
咳や鼻水が10〜14日以上続く場合に疑い始めます。
というのも、通常の風邪であれば咳、鼻水は14日くらいで軽快します。
鼻づまり、目の周りのむくみ、口臭、倦怠感を伴うこともあります。
年長児以降は、頭痛、歯の痛み、臭いがおかしい、ということもあります。
副鼻腔炎の診断
診断は、問診と診察で判断することがあります。
レントゲンやCTを使って診断することもありますが、画像検査は必須ではありません。
風邪の後、2週間程度はCTで異常を認めることがあり、副鼻腔炎か単なる風邪の影響か区別は難しいのです。
副鼻腔炎の重症度について
症状と鼻水から重症度を判断します。
症状や鼻水のスコアが高ければ、重症な副鼻腔炎とみなされます。
急性副鼻腔炎の治療
軽症の副鼻腔炎であれば、3〜7日程度は無治療で様子をみます。
鼻には自浄作用があり、副鼻腔炎は自然軽快が期待できるからです。
抗生物質について
症状が増悪している、長引いてる場合、抗生物質を使用します。
一般的な抗生物質はペニシリン系で、アモキシシリンを高用量(80 mg/kg/日) で投与します。
抗生剤を開始して48時間程度で軽快しなければ、別の種類に変更したりします。
治療期間は10〜14日程度です。
鼻水をかみましょう
鼻水の貯留が原因で副鼻腔炎になります。
こまめに鼻水をかめば、副鼻腔炎の予防にもなります。
ポイントとしては;
- 鼻を片方ずつかむ
- 鼻水の粘稠度が高い時は、生理食塩水を点鼻
- 点鼻したら、吸引器で吸引する
を組み合わせるとよいでしょう。
◎ 鼻の洗浄用品
鼻洗い用の生理食塩水の作り方
生理食塩水の作り方は;
- 食塩 4〜5g
- 200 ccの水
- 重曹 1g
を混ぜれば作れます。重曹1gはなくても構いません。
点鼻するときは、体温くらいに温めたほうが、鼻粘膜への刺激が少ないです。
生理食塩水を作るのが面倒であれば、こちらを利用してもよいでしょう。
急性副鼻腔炎の合併症
頻度はとても少ないですが、合併症として、 眼の周りの蜂窩織炎や骨髄炎、頭蓋内の膿瘍や髄膜炎、血栓性静脈炎、があります。
早期の抗生剤でこれらの合併症が予防できるかは、はっきり分かっていません。