科学的根拠のある子育て・育児

野菜や果物摂取を増加させる栄養指導は、小児の便秘を改善させるか?

  •  便秘ならば食生活を改善しましょう
  •  野菜をしっかり摂取すると、便秘は改善します

などといった指導もあるようです。一方で、この指導には本当に科学的な根拠はあるのでしょうか?

今回は、慢性便秘症の改善に、栄養指導が小児の慢性便秘症を改善させるか検討した小児の研究をご紹介しようと思います。

マミー
マミー
便秘症に食物繊維って効くのですか?

ユーキ先生
ユーキ先生
昔から論文が出ているようです。

Dr.KID
Dr.KID
一緒に読んでみましょう。

ポイント

  •  野菜や果物といった食物繊維を推奨するプログラムが便秘を改善させるか検討
  •  12週間にわたり栄養指導したところ、便秘の改善が半分以上で認められた
  •  特に野菜摂取量が多いほど改善する可能性が高かった
参考文献

J Pediatr 2008;153:45-9.

   台湾からの報告です。

野菜や果物摂取を増加させる栄養指導は、小児の便秘を改善させるか?

研究の背景/目的

小児の便秘を緩和するための食物繊維の適切な摂取量を評価するため、本研究が行われた。

研究の方法

3年間,子供の便秘の改善と食物繊維の摂取量の相関を前向きに評価した。

患者を(3−7歳)と(8~14歳)の小児に分類した。評価期間は12週間であった。

良好な改善は,観察期間中に便秘症状の少なくとも60%の軽減を示す子供と定義した。

最後の4週間に便秘からの改善が観察された。

Dr.KID
Dr.KID
様々な年齢を対象にしたようです。

研究の結果

研究集団は422人の患者(213人は3〜7歳;209人は8〜14歳)からなり,平均年齢は7.89 +/- 4.71歳であった。

若年小児群および高年齢の小児群のベースラインの毎日の食物繊維摂取量は,それぞれ5.97 +/- 2.35 gおよび9.83 +/- 3.51 gであった。

227症例(53.8%)は便秘の改善を示し,患者の49.1%は便秘の軽減を示した。

食物繊維の摂取量が多いと,両群で便秘の良好な改善と正に相関を示した。

便秘緩和における食物繊維摂取量のカットオフ値は若年小児群で10 g,年齢の高い小児群で14.5 gであった。

結論

便秘を軽減するために必要な食物繊維摂取のカットオフ値は年齢とともに増加し, 12週間の介入で達成可能であった。

考察と感想

実際のデータを紐解いてみると、以下の通りでした:

  改善 普遍 RR 95%CI
幼児        
< 9 g/日 44 48 Ref.  
9-10 g/日 9 19 0.67 (0.38–1.19)
> 10 g/日 65 34 1.37 (1.06–1.77)
学童        
< 13 g/日 40 45 Ref.  
13-14 g/日 10 15 0.85 (0.50–1.44)
> 14 g/日 59 34 1.34 (1.02–1.77)

このように、3〜7歳だと10g、8歳以上だと14g (本文は14.5gと記載)がカットオフとして選ばれたようです。

Dr.KID
Dr.KID
便秘が改善する可能性が1.3倍ほど上昇していますね。

まとめ

今回は、野菜や果物といった食物繊維の摂取量を増量させる栄養指導が便秘を改善させるか検討したシングルアームの介入研究でした。

野菜の摂取量が、3〜7歳は10g/日、8〜14歳は14g/日以上摂取すると、便秘が改善する可能性が30-40%ほど高まるようです。

 

 

詳しいデータはnoteの方で執筆しています:

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Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。