インフルエンザのポイント
- インフルエンザは風邪と似た症状がでます
- 高熱や筋肉痛がでるのが特徴です
- 検査は発症24時間以降、抗インフルエンザ薬は発症48時間以内が望ましいです
- 脳症や肺炎を起こすことがあるので注意が必要です
インフルエンザって何ですか?
インフルエンザはインフルエンザウイルスに感染すると発症します。
インフルエンザウイルスには、核蛋白 (NP)・膜蛋白 (M) の特徴からA, B, C型の3種類に分類されています。
インフルエンザA型はさらにウイルス表面の赤血球凝集(HA)とノイラミニダーゼ(NA)によっていくつかの亜型に分類されています。
H1N1やH3N2などと聴いたことがあるかもしれません。
インフルエンザの症状について
インフルエンザも風邪と同じような症状が出ます。
例えば、咳、鼻水、喉の痛み、熱などです。 潜伏期間は数日程度です。
特徴として、38℃を超える発熱、頭痛、関節痛や筋肉痛などが突然表れるのが特徴です。
合併症として肺炎や脳症を起こすことがあるため、注意が必要です
例年ですと11月〜3月にかけて流行します。
検査は発熱してから24〜48時間後に
インフルエンザの診断で最も行われているのは、インフルエンザ抗原というウイルスの破片を検査する迅速検査です。
鼻の奥の粘液をとり、薬品にあててインフルエンザがいるかどうか確認しま。
施設によりますが、大体10−15分くらいで結果がでて、患者さんには30−60分くらいで結果を説明できることが多いです。
発熱直後は検査できないこともあります
発熱してすぐですと、ウイルスの量が不十分なため、迅速検査はオススメしません。
発熱して24〜48時間たった時点が一番確実ですので、この時に検査をするのが一般的です。
発熱直後に来院された場合は解熱剤を処方し1日程度様子をみることが多いでしょう
インフルエンザの治療について
まず、インフルエンザは薬がなければ治らない病気ではありません。
ウイルスですので、自分の免疫力で治すことができます。
抗インフルエンザ薬について
インフルエンザ治療薬を使うのは基本的には発症後48時間以内のみです。
この薬によって、インフルエンザウイルスの増殖を抑えられ、平均して1日程度発熱の期間が短くなります。
しかし、この抗インフルエンザ薬を飲んでも、インフルエンザ脳症を予防することはできません。
抗インフルエンザ薬の種類について
抗インフルエンザ薬には
- 飲み薬:タミフル(オセルタミビル)
- 吸入薬:リレンザ(ザナミビル)、イナビル(ラミナミビル)
- 点滴薬:ラピアクタ(ペラミビル)
があります。
*2018年よりゾフルーザ®︎という新しい薬が発売されましたが、小児における有効性ははっきりしていません。
吸入薬はしっかり吸入ができる年齢から使用するので、大体7歳以降から使用可能です。
小児の抗インフルエンザ薬は結局どれを使用すればよいのか?〜タミフル vs. リレンザ vs. イナビル vs. ラピアクタの比較試験〜
有効性に関しては、どの薬も臨床的には変化はないと報告されています。どんぐりの背比べの印象です。
新薬(ゾフルーザ®︎)に関しては、まだ小児では十分な臨床試験が行われておらず、内服は推奨しません。
タミフルやリレンザと異常行動について
以前、厚生労働省からでた緊急安全性情報(一部抜粋)について載せます
10歳以上の未成年の患者においては、因果関係は不明であるものの、タミフルの服用後に異常行動を発現し、転落等の事故に至った例が報告されています。
このため、この年代の患者には、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除いては、原則として本剤の使用を差し控えること。
また、小児・未成年者については、万が一の事故を防止するための予防的な対応として、本剤による治療が開始された後は、
(1) 異常行動の発現のおそれがあること
(2) 自宅において療養を行う場合、保護者は小児・未成年者が一人にならないよう配慮することについて、患者・家族に対して説明を行うこと
とされています。
タミフルは10代に使用して異常行動が出たという報告がありました。
因果関係ははっきりしていませんが、10代のお子さんにはあまり積極的に使われていません。
吸入の抗インフルエンザ薬を使用するか、解熱剤のみで様子をみる施設もあります。施設毎に方針が異なる印象です。
また、タミフル(オセルタミビル)は1歳未満の乳児に対する安全性・有効性は確率していません。
しかし、新生児の入院例などでは使用されているため、経験的には安全と考えられています。
異常行動は薬というより、インフルエンザのせいでは?
最近、吸入薬であるリレンザと異常行動が報道されました。
現時点では、リレンザに問題があるというより、インフルエンザによる熱で異常行動を起こしたのではないかと考えられています。
解熱薬は使用してもよいですか?
解熱剤は使用してもよいですが、アセトアミノフェン(カロナール、コカール)を使用しましょう。
アスピリンなどNSAIDsは、稀ではありますがReye症候群という重症の疾患を誘発する恐れがあるため、インフルエンザでの使用は推奨されていません。
川崎病や心臓の疾患などでアスピリンを内服している時、インフルエンザに罹患した場合は、担当の先生と内服の変更をどうするか、よく相談しましょう。
インフルエンザ脳症について
インフルエンザ脳症とは、インフルエンザへの感染がきっかけで、脳に異常が生じる疾患です。
意識状態が悪化したり、異常行動・言動をおこしたり、痙攣がつづくことがあります。
インフルエンザ脳症が発症する理由に関しては詳しいことは分かっていません。
後遺症を残す場合や、死亡するケースも少ないですが認めています
インフルエンザ治療薬を開始しても、この脳症の発症は予防できません。
ですので、インフルエンザにかからないようにワクチンで予防することが重要です。
インフルエンザの感染対策について
インフルエンザワクチンで予防ができます。
しかし、水痘などのワクチンと比べて有効性は比較的低く、ワクチンをうったら絶対に大丈夫、というわけではありません。
うがい,手洗いをしっかりする、外出時にマスクを着ける、人混みにいかない、などが重要でしょう。