インフルエンザの診断方法ですが、日本では迅速検査を用いた方法がほとんどですが、この状況は先進国でも、かなり極端に検査が行われ、抗インフルエンザ薬が投薬されていると思います。
インフルエンザの診断方法ですが、医師の主観的な判断であったり、診断決定ルールを利用する方法もあるようです。診断決定ルールは、「発熱と咳がある」の2つが揃うという極めてシンプルな方法のようです。
- 臨床診断、迅速検査、診断決定ルールで感度・特異度を比較した研究
- いずれの方法も、感度は75%以下であった
- 迅速検査が最も感度が低かったが、一般化可能性に問題がありそう
Performance Characteristics of Clinical Diagnosis, a Clinical Decision Rule, and a Rapid Influenza Test in the Detection of Influenza Infection in a Community Sample of Adults. Annals of Emergency Medicine. 2005;46:412-419.
研究の方法
今回対象となったのは、過去にRCTが行われた研究データで、
- 成人
- 少なくとも地域でインフルエンザが2例以上ある
- 37.8℃以上の発熱
- 頭痛・筋肉痛・咳・咽頭痛のいずれか2つがある
などが該当しています。
インフルエンザについて
インフルエンザの診断に関しては、
- 医師の判断による臨床診断
- 迅速診断
- 「発熱+咳」による診断
の3つを、PCRによる診断と比較しています。
研究結果と考察
最終的に217名のデータが使用されています。
それぞれの感度、特異度は以下の通りでした:
< 48時間 | 感度 | 特異度 |
臨床診断 | 67% (39-86) |
96% (81-99) |
迅速検査 | 58% (32-81) |
96% (81-99) |
決定方法 | 75% (47-91) |
89% (71-96) |
感度は意外と迅速検査のほうが低かったようですね。
48時間以降の検査結果は以下の通りです:
> 48時間 | 感度 | 特異度 |
臨床診断 | 17% (8-32) |
92% (86-95) |
迅速検査 | 25% (32-81) |
99% (96-99.9) |
決定方法 | 28% (16-44) |
93% (88-96) |
感想と考察
48時間以内に関しては、感度はどの方法でもそれほど高くなく、60-75%でした。迅速検査の感度が低いのが意外ですね、
RCTの二次データなので、特殊な集団の可能性があると思います。その地域の流行状況を正確に判断されたのでしょうが、なかなか各地域で同様のことを行うのは難しいかもしれませんね。
まとめ
臨床診断、迅速検査、診断決定ルールで感度・特異度を比較した研究でしたが、いずれも60-70%前後と低かったです。
- 臨床診断、迅速検査、診断決定ルールで感度・特異度を比較した研究
- いずれの方法も、感度は75%以下であった
- 迅速検査が最も感度が低かったが、一般化可能性に問題がありそう
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