インフルエンザの診断には、迅速検査が用いられることが多いですが、検査の正確性も100%ではありません。
感度とは、「インフルエンザが本当にある人のうち、検査が陽性になる確率」
特異度とは、「インフルエンザが本当にない人のうち、検査が陰性になる確率」
と言い、検査キットのクオリティーの指標になります。今回はその報告を見つけたので、ご紹介します。
インフルエンザA(H1N1 パンデミック2009)において
- 既存の迅速検査は感度は低く、特異度は高い
研究の方法
H1N1 2009がアウトブレークした際、18歳未満で受診した小児を対象に行われたフランスの研究です。単施設の研究ですが、この病院にはかなりの数の患者が押し寄せたようです。
発熱でインフルエンザ症状のある患者を対象に、今回の検査が行われたようです。
検査について
検査ですが
- the Clearview Exact Influenza A&B kit
- ゴールドスタンダード:RT-PCT
を使用しています。
- 感度・特異度とその95%CIを推定しています
研究結果と考察
最終的に76人の患者が受診しています。年齢は1ヶ月〜16際です。
3割は2歳以下で、6割に慢性疾患がありました。78%の患者は2日以内に検査を施工されています。
結果
以下のように定義しています:
- D(+) = インフル陽性
- D(-) = インフル陰性
- T (+) = 迅速検査陽性
- T (-) = 迅速検査陰性
D (+) | D(-) | ||
T(+) | 23 | 2 | 25 |
T(-) | 16 | 35 | 51 |
39 | 37 | 76 |
ここから、
- 感度 = 23/39 = 58.9% (42 to 74)
- 特異度 = 35/37 = 94.6% (81 to 99)
と推定されています。
- 陽性的中率 = 92% (74 to 99)
- 陰性的中率 = 69% (54 to 81)
でした。
感想と考察
既存の迅速検査がH1N12009に有用かを調べた検査でした。特異度は高いけれども、感度はそこそこ低い印象ですね。
迅速検査のタイミングなどが考慮されていないので、まだ課題は残っている印象です。
まとめ
今回はH1N1 2009 パンデミックにおいて、既存の迅速検査が有効であったのかを検討しています。
感度59%、特異度95%という結果でした。タイミングの考慮など、まだ検討余地はありそうですね。
インフルエンザA(H1N1 パンデミック2009)において
- 既存の迅速検査は感度は低く、特異度は高い
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