感染予防といえば、手洗い・マスク・うがい、などと言われています。
これまで、手洗いとうがいのエビデンスは沢山解説してきましたが、うがいはどうでしょうか。
うがいの有効性を検証した論文がありますが、今回は「水道水 vs. 緑茶」で検討した研究を解説していきます。
- 緑茶 vs. 水道水でうがいのインフルエンザへの予防効果を検証した日本のRCT
- インフルエンザの感染リスクは前者で4.9%、後者で6.9%
- 遵守率が低めであり、再検証は必要
RCTで、水道水と緑茶の有効性を比較しています
研究の概要
背景
緑茶にあるカテキンに抗インフルエンザウイルス活性を有することは、過去の実験室での研究で示唆されています。しかし、この活性が臨床的に有効であるというエビデンスは決定的ではありません。
学童期の小児は、インフルエンザ感染が集団発生することがあり、社会への拡散において重要な役割を果たしています。
学生間のインフルエンザ感染の予防をすることで、インフルエンザの流行のピークを減らすことが可能かもしれません。
そして、感染に対する非薬物学的介入として、うがいはアジア諸国でも一般的に行われているが、まだ広く研究されていないため、本研究が行われています。
方法
日本の静岡県の6つの高校で、757人の高校生(15歳~17歳)において、非盲検ランダム化比較試験が行われました。この研究は、2011年12月1日~2012年2月28日のインフルエンザ流行期の90日間実施されています。
緑茶うがい群はペットボトル入り緑茶で1日3回うがいをし、水うがい群は水道水で同じようにうがいをしました。
水道水でうがいをするグループは、緑茶によるうがいをしないように指導されています
主要評価項目は、迅速検査で検出されるインフルエンザの発生率です。
結果
757名の参加者が登録され、 747名が研究を完了しています(緑茶グループで384、水グループで363)。
インフルエンザの発症リスクは、
- 緑茶群(4.9%)
- 水群(6.9%)
とやや緑茶グループのほうが低いですが、多変量ロジスティック回帰分析では[調整済OR, 0.69 [95% CI, 0.37〜1.28]]と統計学的な有意差を認めていません。
一方で、この研究では、高校生の順守率が予想より低かっく、治療効果の推定が不正確である可能性もあります。
結論
高校生では、1日3回の緑茶によるうがいは、インフルエンザ感染予防のための水によるうがいより、効果的とこの研究で示唆することはできはなかった。
このようなうがいの効果を適切に評価するためには、さらなる大規模ランダム化研究が必要である。
感想と考察
コンプライアンスが低く、60〜70%だったようですね。これだと、ITT解析をした場合に過小評価になりますし、per-protocol解析をしてもバイアスを招いてしまうかもしれないですね。
まとめ
今回の研究では、日本の高校生を対象に、インフルエンザ予防に緑茶によるうがいが良いか、水道水によるうがいで良いかを検証しています。
両者でインフルエンザへの感染リスクはほとんど変わらない結果でした。
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