インフルエンザの迅速検査は鼻に細い綿棒を入れるため、痛みを伴う検査です。
なので、中には「鼻ではなくて、喉でなんとかならないか?」と考える人が、ひょっとしたらいるかもしれません。
ですが、過去の研究結果を見ると、咽頭拭い液の感度は低いです。つまり、「インフルエンザが本当はあるのに、検査で陰性」と出てしまう可能性があるのです。
今回は、そのことに触れた論文を見てみましょう。
ポイント
- インフルエンザの迅速検査は、咽頭ぬぐい液だと感度は大幅に下がる
- 発症が2日目あたりが感度が高そう
マミー
喉ではダメなのでしょうか?
Dr.KID
鼻の方がウイルス量を多く確保できるので、良いでしょうね。
参考文献
酵素免疫法によるA型インフルエンザの迅速診断. 日本臨牀. 2000;58:61-65.
研究の方法
1999/2000シーズンのインフルエンザ患者において、咽頭拭い液(N = 148)、鼻腔拭い液(N=141)、鼻腔吸引液(N=52)で感度を比較しているようです。
研究結果と考察
結果は以下の通りでした。
病日 | 咽頭 | 鼻腔 | 吸引 |
1 | 59% | 96% | 100% |
2 | 79% | 91% | 100% |
3 | 40% | 100% | 100% |
4 | 53% | 90% | 100% |
5 | 50% | 82% | 100% |
6 | 17% | 75% | 100% |
7 | 100% | 100% | 100% |
全体 | 65% | 91% | 100% |
この結果からは、咽頭ぬぐい液 < 鼻腔ぬぐい液 < 鼻腔吸引液という結果でした。
咽頭ぬぐい液はかなり感度が低く、やはり鼻腔ぬぐい液を採取した方が良いでしょう。鼻腔吸引に関しては、サンプル数が少なめでした。
感度にピークは発症後2日目くらいでしょうか。
感想と考察
なかなか面白い研究結果でしたね。もともとインフルエンザ検査は鼻腔が基本なので、咽頭を拭う機会はありませんが、感度がかなり低くなる点は、臨床上の知識として知っておいても良さそうですね。
Dr.KID
痛みを伴いますが、検査の正確性のためには仕方ないですね。
まとめ
今回の研究では、インフルエンザの迅速検査において、採取法の違いで感度がどのくらい異なるのかを比較しています。
咽頭ぬぐい液の場合、感度が大幅に下がるため、できれば避けた方が良さそうです。
マミー
あの痛い検査、なんとかなりませんか?
Dr.KID
私、個人も、とても苦手なのですが…
まとめ
- インフルエンザの迅速検査は、咽頭ぬぐい液だと感度は大幅に下がる
- 発症が2日目あたりが感度が高そう
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