インフルエンザウイルスの診断は、なかなか臨床的に判断するのが難しいのもあり、迅速検査を利用することがあります。
迅速検査ですが、感度・特異度というものがあり、可能であれば、この両方が高いタイミングで検査をする方が良いと考えられています。およそのタイミングですが、発熱して1日後くらいが最も感度が高いのがわかっていますが、その証拠となる論文をまた1つ発見したので、こちらで報告させていただきます。
- インフルエンザ検査の妥当性を評価した研究 (ニカラグア)
- 発熱初日の感度は41%、2日目以降は72%
研究の方法
今回の研究は、アメリカの研究者がニカラグアで行なったものです。
対象となったのは、
- 2-14歳
- 発熱後5日以内の小児
などが該当しています。
検査について
検査は、
- 迅速検査:Quick Vue rapid test
- PCR
を使用して、妥当性の評価をしています。
研究結果と考察
最終的に267名の検体を採取し、92(35%)がインフルエンザ陽性でした。
それぞれの結果を以下に示します
感度・特異度
インフル | 感度 | 特異度 | |
初日 | 24/73 (33%) |
41.7% | 97.9% |
2日目以降 | 68/194 (35) |
72.1% | 98.4% |
やはり初日の感度は低く出ています。
陽性的中率 (PPV)・陰性的中率 (NPV)
陽性的中率と陰性的中率は以下の通りです:
インフル | PPV | NPV | |
初日 | 24/73 (33%) |
90.9% | 77.0% |
2日目以降 | 68/194 (35) |
96.1% | 86.6% |
陰性的中率は初日は77%と低めです。逆にいうと、初日に「検査陰性と言われたけれど、実は23%はインフルエンザだった」という計算になります。
感想と考察
ニカラグアで行われた研究ですが、やはりインフルエンザ初日における迅速検査の感度は低く出ています。検査に正確性を求めるのであれば、24時間くらい経過してからが良いでしょう。
まとめ
ニカラグアで行われた研究においても、やはりインフルエンザ初日における迅速検査の感度はやや低く出ています。検査に正確性を求めるのであれば、24時間くらい経過してからが良いでしょう。
一方で、お子さんの全身状態が悪い時(呼吸が苦しそう、水分が取れない、意識が悪い、けいれんをした、など)は、検査の精度とは関係なく、お早めに受診しましょう。
- インフルエンザ検査の妥当性を評価した研究 (ニカラグア)
- 発熱初日の感度は41%、2日目以降は72%