- 「インフルエンザワクチンは乳幼児には効かない」
- 「だからワクチンを推奨しない」
と言った方針の医療機関も少なからずあるようです。
しかし、近年、RCTや観察研究で乳幼児にもインフルエンザワクチンの有効性が示唆された研究は沢山あります。今回もその1つをご紹介できればと思います。
インフルエンザワクチンは…
- 8〜35ヶ月でも有効
- 1回より2回接種の方が有効性は高い
- 確実にスケジュール通り接種しましょう
研究の方法
今回の研究は、2012-13年に中国の小児を対象に行われています。
対象となったのは、
- 健常児
- 同じ地域に住む
- 8-71ヶ月の乳幼児
などが該当しています。
今回の研究はケースコントロール研究です。
ケースコントロールについて
ケースとコントロールですが
- ケース:インフルエンザと確定診断
- コントロール:同じ地域に居住する健常児
としています。コントロールは、性別、年齢、地域などをもとにマッチングした、matched case control studyです。
治療について
治療に関しては、
- ワクチン接種の有無を見ています
を見ています。著者らで以下のように分類したようです(8-35ヶ月)。
ワクチン | 今回 | 前回 |
Full | 2回 | 2回 |
Partial | 1回 | <2回 |
研究結果と考察
最終的に3500名ほどが対象となっています。
全体と年齢別に見たワクチンの有効性は以下の通りです。
ワクチンの有効性
ワクチンの有効性 | 95%CI | |
8〜72ヶ月 | 67% | 58%–74% |
8〜35ヶ月 | ||
Partial | 55% | 33%–70% |
Full | 73% | 60%–81% |
36-72ヶ月 | ||
Full | 67% | 51%–78% |
年齢をサブグループに分けても有効性はありそうですし、やはり1回より2回接種の方が有効性は大きそうです。
感想と考察
今回の研究はケースコントロール研究でワクチンの有効性を検証しています。
コントロールの選別の仕方もお作法通りですし、解析もconditional logistic regressionを使用しており、問題はなさそうな印象でした。
のちに発表されるRCTよりは有効性がやや過剰評価されてしまっていますが、観察研究なので仕方ない面もあるとは思います。
まとめ
今回の中国で行われた観察研究では、インフルエンザワクチンの予防効果を認めています。有効性は6〜35ヶ月でも認めており、1回投与より、2回確実に投与した方が良さそうです。
インフルエンザワクチンは…
- 8〜35ヶ月でも有効
- 1回より2回接種の方が有効性は高い
- 確実にスケジュール通り接種しましょう