小児科

食物アレルギーとアレルギー検査について説明します

食物アレルギーについて

食物アレルギーのポイントですが;

  • 食物に対して身体が過敏に反応することをいいます
  • 皮膚・呼吸器・目・腹などに、様々な症状がでます
  • 特定の食物を食べた後に症状が起こって診断します
  • 血液検査の結果のみで、食物アレルギーの診断はできません
Dr.KID
Dr.KID
まずはポイント!

アレルギーって何ですか?

まずアレルギーは『身体の中に入ってきた異物に対して、身体が過剰に反応すること』をいいます。
アレルギーには1型〜4型がありますが、食物アレルギーは主に1型アレルギーに分類されます。

食物アレルギーとは、ある特定の食物をとり、身体が過敏に反応し;

  • 蕁麻疹
  • 喘鳴
  • 嘔吐・下痢
  • 顔色不良・血圧低下

などの様々な症状が出る人のことをいいます。

Dr.KID
Dr.KID
蕁麻疹が多いですが、別の症状のこともあります。

離乳食を開始する前に血液検査?

『離乳食前にアレルギー検査をしたいです!』
といい、外来受診される方がいます。

基本的に食品を食べて何も症状がない子供に血液検査の必要はありません。
離乳食を食べたことがない子も同様です。

Dr.KID
Dr.KID
不安な気持ちはわかりますが、血液検査をしても診断に結びつかないです。

血液検査の値のみで食物アレルギーの診断はしません

アレルギーの血液検査の結果は、あまり正確ではありません。
血液検査ではIgE抗体というアレルギーの値をみます。

このIgEの値が高くても食べられることはありますし、逆にIgEの値が低くてもアレルギー症状を起こすことがあります。

つまり、血液検査の結果だけでは判断できないのです。

血液検査より大事なことを忘れないで

大事なことは、初めて食べるものは、加熱・加工されたものを、ひとさじから始めて、日数をかけながら、徐々に増量していきましょう。

新しい食品を摂取する際は、何かアレルギー症状が起きた時に受診できるよう、平日の日中に食べさせましょう。

休日や夜間に新しい食品を食べさせてアレルギー症状が出ても、受診できる病院は限られています。
ご家庭でも、しっかりとリスク・マネージメントをしましょう。

離乳食をどのように開始したらよい?

生後5〜6ヶ月になると、離乳食を開始すると思います。
離乳食はゆっくりと進めていくことが良いでしょう。

離乳食の進め方

まずはお粥(10倍粥)をひとさじからあげましょう。
お粥に慣れてきたら、野菜・芋類・大豆・魚などを順番に進めましょう。

初めて食べるものは、必ず加熱・加工されたもので、ひとさじから始めましょう。

アレルギーが出やすいのは、卵・小麦・牛乳・大豆です。
これらの食品は、アレルギー症状が出やすいので、初めて食べさせるのは、平日の日中にして、非常に少量(1口)から開始するとよいでしょう。

Dr.KID
Dr.KID
あくまでも目安ですので、ご家庭であったやり方を模索すると良いでしょう。完璧な正解はありませんよ。

離乳食の開始は遅い方がアレルギーの予防に良いと聞きました

時々、食物アレルギーを予防したいから、離乳食の開始を遅らせる、という手段を自己判断でされている保護者がいます。

また、アレルギーの専門家も一時期は『離乳食の開始を遅らせると、アレルギーを予防できる』と考えている方がいました(過去形です)。

離乳食を遅らせても、食物アレルギーの予防はできないですよ

残念ながら『離乳食を遅らせても、アレルギーの予防はできない』という事実が、最近の研究でわかってきました。

過去に研究が行われており、アレルギーを起こしやすそうな赤ちゃんに;

  1. 完全母乳栄養にする
  2. 離乳食の開始を遅らせる
  3. アレルギーを起こしやすい食物(卵・ピーナッツなど)を除去する

を組み合わせても、アレルギーの発症を抑制できませんでした。

別の研究で、離乳食を遅らせ過ぎると、むしろアレルギーを発症しやすくなるという報告もあります。

食物アレルギーを心配して離乳食を遅らせるメリットは、ほとんどありません。

一部の偏った意見をもつ専門家は 『アレルギーの原因になる食物は2歳半までは与えるべきでない』 など極端な育児法をいっていますが、惑わされないようにしましょう。

Dr.KID
Dr.KID
古い知識をアップデートできていない専門家や、自称「専門家」もいますので、気をつけましょうね。一人の意見だけに流されすぎないようにしましょう。

過剰な検査、不必要な食品除去はやめましょう

ここ最近、アレルギーに関して異常すぎるほど過剰に反応する保護者が多くいます。

アレルギーの症状が出ていないのに、子供に血液検査を受けさせ、血液検査の結果だけをみて食品を除去されている方もかなりいます。
このような食品制限の自己判断は、逆にお子さんが偏った栄養摂取となり、適切な栄養摂取ができていないケースが多々あります。

血液検査をする場合、検査の必要性や、検査結果の解釈、その後の食品摂取をどうするのか、かかりつけ医とよく話し合いましょう。

Dr.KID
Dr.KID
食品を除去するということは、それだけ摂取できる栄養が減る可能性が高まるのです。

アレルギー症状が起きてしまったら…

アレルギー症状で最も多いのは蕁麻疹です;

 

 蕁麻疹とは、『赤く、膨隆して、地図状に見える、かゆみのある発疹』をいいます。
蕁麻疹が出てしまったら、一度、医療機関に受診しましょう。

迷わず救急車を呼んでほしい時

アナフィラキシーとは、重症の食物アレルギーでも起こりますが、はじめて(卵などの)食品を摂取して、蕁麻疹以外にも;

  • 呼吸が苦しそう
  • 咳がひどい、ぜーぜーしている
  • 嘔吐している、下痢が出ている

など、皮膚以外にも強く症状が出た時は、アナフィラキシーの可能性があるため、救急車を呼んで病院へ向かいましょう。

Dr.KID
Dr.KID
苦しそう、辛そうと思ったら、迷わず救急車を。

初めての食品は、平日・日中に食べさせましょう

休日や夜間は、受診できる医療機関が限られるため、初めて食べさせる食品(特にアレルギーを起こしやすい食品)は、平日の日中にして、少量だけ食べさせましょう。

 

ABOUT ME
Dr-KID
このブログ(https://www.dr-kid.net )を書いてる小児科専門医・疫学者。 小児医療の研究で、英語論文を年5〜10本執筆、査読は年30-50本。 趣味は中長期投資、旅・散策、サッカー観戦。note (https://note.mu/drkid)もやってます。