こどもの外傷と骨折について知りたい方へ
子どもが転んだり、怪我をして、痛がっているけれども、どのくらいひどければ骨折を疑って受診して良いか分からない。
あと具体例や骨折を疑った時の受診までの対処法や、受診後のホームケアとかあれば、ついでに知りたいと方もいるでしょう。
そこで、本記事では下記の内容を解説します。
本記事の内容
- 骨折を疑う症状
- 早急に受診した方がとい例
- 受診までにできる応急処置
- 受診後の自宅でのホームケア
小児科は内科的な疾患が基本ですので、外傷を含む外科疾患はあまり得意としません。
それでも、外傷後に困り果てて受診されることもあります。
近年は小児救急も徐々に普及して来ており、小児科医であっても外傷のことは一通り勉強されている方もいるでしょう。
骨折を疑う症状
公園の遊具や自転車から転んでしまい、
- 「激しく転んでしまって、肘や膝が腫れている」
- 「ぶつかった後に痛みが引かない」
などで受診されることがあります。
これらの症状は骨折や捻挫を疑いたくなる症状です。
特に骨折を強く疑う症状としては、
- 痛みが非常に強い(これまでに経験がないほど)
- 動けない、歩けない、手足に力が入らない
- 腫れがひどい
- 時間とともに皮膚が変色している
- 腕や足、指などの向きがおかしい
があります。これらの症状がある場合には、病院にお早めに受診しましょう。
乳幼児の骨折について
乳幼児の骨折の場合、症状を自分で上手く訴えられないことが多々あります。骨折など外傷による痛みを疑う例として
- 一部を動かすのを嫌がる(右手だけ使わない)
- 片方に向けると泣く(右向きに寝かせると泣く)
- 片足だけ地面に着こうとしない(右足のみ、着地しようとしない)
- 体を動かすと激しく泣く
などは、骨折の可能性があります。
これらの症状は骨折に特異的なものでなく、肘内障や骨髄炎などのケースもあるため、小児科や整形外科、救急科などでは、これらも注意しつつ診療しています。
「片足だけ足を着けようとしない」というお子さんが受診され、色々と精査をしたら骨髄炎だったというケースもあります。
開放骨折について
開放骨折とは、骨折した骨が内側から皮膚を突き破って外に出ている状態をいいます。
皮膚は最近などの外敵から筋肉や骨を守るバリアの役割をしています。
開放骨折では、このバリアを貫通してしまうため、骨に細菌が感染してしまうこと(骨髄炎)があります。
もちろん骨折を疑った時は、早急に病院へ行った方が良いですが、開放骨折を疑うような時は、可能な限り早く病院へ行きましょう(救急車を呼んで構わないと思います)。
受診までにできる応急処置
受診までにできることは多くはありませんが、骨折した場合、体を動かすと痛みが悪化します。
このため、痛い場所が動かないように、副木(そえぎ)を使ってまっすぐに固定すると良いでしょう。
まっすぐに固定できるものとして副木になりそうな棒があれば良いのですが、ない場合は身近なものとして、段ボール、雑誌や新聞を丸めたものなどで、痛がっている部位の上と下の関節を固定すると良いでしょう。(例えば手首を痛がるなら、指〜肘までを固定)
無理に動かすと、関節内などの出血が悪化したり、痛みがひどくなったり、骨や神経が損傷することがあるため、できるだけ動かさないで、本人が楽な姿勢で固定しましょう。
受診後のホームケア
病院に受診すると、骨折の程度の評価をし、その後の方針が決まります。
開放骨折などひどい例は入院が必要となりますが、整復の必要がない軽めの骨折などは固定のみで自宅経過観察となるケースもあります。
骨折後は腫れや痛みが強いので、痛みの対処がメインになります。具体的には、
- 安静にする
- 冷やす
- 痛い場所を高い位置に置く
などが中心となります。
ギプスなどで固定されることがありますが、固定がキツくないか、指先の色や動きが悪くないかは、1日に2−3回など、定期的に見てあげると良いでしょう。
というのも、骨折した部位で内出血がゆっくりと起こり、遅れて腫れてくることがあります。この場合、最初に固定したギプスがきつくなり、指先などの血流が悪くなってしまうことがあります。
まとめ
今回は小児の怪我と骨折について、骨折を疑う症状、受診の目安、受診前後の対処法など、を簡潔に説明してきました。
もちろん記憶しておく必要はありませんが、こんな風に対処すれば良いのか、と少し知っておくだけで十分と思います。
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