今回は、小児の皮膚の真菌感染における外用薬に関してです。
この推奨を「choosing wisely」ではどのように記載されているのか紹介してみようと思います。
- Choosing wisely:小児の皮膚の真菌感染における外用薬
- ルーチンで抗真菌薬とステロイド外用薬を併用しない
American Academy of PediatricsからのChoosing Wisely
体部白癬、カンジダ性皮膚感染症、おむつ皮膚炎には、ステロイドと抗真菌剤の併用を避ける[Choosing wisely]
Avoid the use of combination topical steroid antifungals for tinea corporis, Candida skin infections, and diaper dermatitis.
Although combination topical antifungal/corticosteroids have been approved for the treatment of tinea corporis, candidiasis, and diaper dermatitis, we recommend against use of these agents.
Many providers are unaware that the combination products contain a relatively high-potency topical steroid. For treatment of tinea corporis, the application of a topical antifungal agent alone is recommended. If symptoms such as severe pruritus require concomitant application of a topical steroid, a separate low-potency agent can be prescribed, allowing for a tapering course that should be limited to less than 2 weeks. A separate topical antifungal cream can be continued longer until the infection is cleared. This will reduce the risk of systemic absorption of the topical steroid.
Combination products are often used for treatment of diaper dermatitis. In most patients, diaper dermatitis is an irritant contact dermatitis from stool that will usually respond to barrier diaper creams/ointments alone.
Combination products, if applied with every diaper change, can result in skin atrophy, striae, and systemic absorption of the relatively high-potency topical steroids. It is instead recommended that barrier products be applied with every diaper change in this circumstance and a second low-potency topical steroid be applied, as needed, no more than twice a day and tapered as soon at the dermatitis is under control.
Combination products are also often expensive and not covered by pharmacy plans.
体部白癬、カンジダ性皮膚感染症、おむつ皮膚炎には、ステロイドと抗真菌剤の併用を避ける。
局所抗真菌剤とステロイド外用の併用療法は、白癬、カンジダ皮膚炎、おむつ皮膚炎の治療に承認されていますが、これらの薬剤の使用は避けることをお勧めします。
多くの医療機関では、これらの配合剤には比較的効力の高いステロイド外用剤が含まれていることを知りません。体部白癬の治療には、局所抗真菌剤の塗布のみが推奨されています。
重度の掻痒感などの症状により、ステロイド外用剤の併用が必要な場合は、低活性の別の薬剤を処方し、2週間以内に漸減させることができます。
別の局所抗真菌クリームは、感染症が治癒するまで長く続けることができる。これにより、ステロイド外用剤が全身に吸収されるリスクを減らすことができます。
おむつ皮膚炎の治療には、配合剤がよく使われます。ほとんどの患者さんでは、おむつ皮膚炎は便による刺激性の接触皮膚炎であり、通常はバリアー機能のあるおむつ用クリーム/軟膏のみに反応します。
配合薬のある外用薬は、おむつ交換のたびに塗布すると、皮膚の萎縮、線条の形成、比較的高活性の局所ステロイドの全身吸収を引き起こす可能性があります。このような状況では、おむつ交換のたびにバリア製品を塗布し、必要に応じて2種類目の低濃度ステロイド外用剤を1日2回以下で塗布し、皮膚炎が治まったら徐々に減らしていくことが推奨されます。
考察と感想
小児の皮膚の真菌感染における外用薬に関してでした。
国内でもステロイド配合の外用薬が市販薬を含めてありますが、ルーチンでは使用しないというところでしょうか。確かに、両方の薬を同時に使用すると、どちらが効いたのかよく分からなくなることがあります。
そういう意味でも、まずは1種類を、と言うのは賛成です。
参考文献も読んでみようと思います:
Wheat CM, Bickley RJ, Hsueh Y, Cohen BA. Current trends in the use of two combination antifungal/corticosteroid creams. J Pediatr. 2017;186:192-195
Cohen BA. Differential diagnosis of diaper dermatitis. Clin Pediatr. 2017;56:16S-22S
Alston SJ, Cohen BA, Braun M. Persistent and recurrent tinea corporis in children treated with combination antifungal/corticosteroid agents. Pediatrics. 2003;111(1):201-203
まとめ
今回は、小児の皮膚の真菌感染における外用薬に関するchoosing wiselyをご紹介しました。
これ以外にも項目が出ているようなので、コツコツと読んでいこうと思います。
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Dr. KIDの執筆した書籍・Note
医学書:小児のかぜ薬のエビデンス
小児のかぜ薬のエビデンスについて、システマティックレビューとメタ解析の結果を中心に解説しています。
また、これらの文献の読み方・考え方についても「Lecture」として解説しました。
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小児の診療に関わる医療者に広く読んでいただければと思います。
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