ウイルス性胃腸炎のポイント
- 急性胃腸炎は、どのウイルスにかかっても治療法は変わりません
- 胃腸炎には特効薬はないです
- 脱水にならないように、適切な水分・塩分・糖分を補給しましょう
急性性胃腸炎の原因
急性胃腸炎は、ウイルス感染が原因のことがほとんどです。
代表的なウイルスは;
- ロタウイルス
- アデノウイルス
- サッポロウイルス
- ノロウイルス
- アストロウイルス
- コクサッキーウイルス
などがあります。
例えば、NEJMに2018年に発表された小児の胃腸炎と整腸剤の研究で出されていた病原体リストは以下の通りになります。9割はウイルスです。
急性胃腸炎の症状
胃腸炎の主な症状は、嘔吐・下痢です。
『お腹が痛い』と腹痛を訴えたり、発熱することもあります。
脱水に注意しましょう
嘔吐・下痢がひどいときは、脱水に注意しましょう。
脱水になると、尿の量が減り、皮膚は乾燥します。
特に気をつけた方がいい症状は、顔色が悪い、手足が冷たい、です
脱水の目安について
- 下痢の回数や量
- 嘔吐の回数
- 1日の水分摂取量
- 尿の回数や色
といった保護者からの情報と、診察から脱水の判断をしています。
例えば、嘔吐がひどくて1日水分摂取ができていない、尿が半日〜1日以上出ていない、診察時に泣いても涙が出ない、ケースは脱水を強く疑います。
急性胃腸炎の治療法
急性胃腸炎の特効薬はありません。
胃腸炎の原因となったウイルスは、自分の免疫力で退治できるので、自然に軽快するのをゆっくり待ちます。
脱水に注意しましょう
脱水予防が一番重要で、こまめな水分摂取を心がけましょう。
特に、嘔吐した直後は腸の動きも悪いため、水分や固形物をすぐに与えるのはやめましょう。
少し時間をおいてから、ゆっくりと水分摂取をすすめてみてください。
最初はスプーン1杯(約5 cc)から始め、10〜15分間隔であげるようにしてください。
徐々に量を増やすとよいでしょう。
吐き気どめは、科学的根拠のない治療法です
吐き気止めの坐薬や点滴はありますが、有効性は証明されていません。
また、吐き気止めを過剰に使うと、錐体外路症状といって、筋肉の運動機能に副作用が出ることがあるため、注意が必要です:
胃腸炎に抗生剤は不要ですよ
また、ウイルス性の胃腸炎に抗生剤は無効です。
抗生剤は細菌には有効ですが、ウイルスには効きません。
胃腸炎で抗生剤を処方する医師は『ヤブ医者』と言われても仕方ないでしょう。
ウイルスの検査は、基本は不要です
『ロタウイルス・ノロウイルスの検査をしてください』
『保育園・幼稚園の先生に、検査をしてくるように言われました』
と受診されることも、しばしばあります。
保護者の方に知ってほしいのは『どんな種類のウイルスにかかっても、治療法は一切かわらない』という点です。
つまり、 何のウイルスに感染したか特定する必要はないのです。
ロタウイルスでもノロウイルスでも治療法は変わらないです。
大事なことは、脱水症状がないかをしっかりと観察し、脱水を予防するために水分摂取をこまめに行うことです。
また、他のお子さんの感染予防に、しっかりと手洗いをし、消毒を行うように心がけることが重要です。